植え付け・植え替え

 ほとんどのラケナリアは、自生地では比較的雨の多い冷涼な冬に生育するため、日本でも気温が下がり始める秋に植えつけます。球根はまず根を伸ばし、その後に出芽するのですが、根は比較的早くから伸び出しますので、9月上旬には植え付けるようにします。夏を越した球根は、鉢のまま乾燥休眠させてありますが、同じように9月上旬までには分球、植え替えを完了しておきます。園芸書などでは、2、3年植え替えずに据え置いた方がよいと書かれてありますが、私は毎年植え替えるようにしています。確かにL.mutabilisなどのように、たくさんの小さな子球(bulblet)をつける種類は、据え置いて子球の生育を待った方がよさそうですが、そんなに大量に増やす必要がない限り毎年植え替える方がいいと思います。ラケナリアの球根は腐りやすいので、毎年殺菌消毒し、新しい培養土に植え替えた方が安全です。
 殺菌の方法には、薬剤の粉末をそのまま塗布する方法と規定倍に希釈した薬液に浸漬する方法がありますが、私は粉末を塗布する方法で行っています。こちらの方が、薬剤の無駄も少なく、作業後すぐに植え付けられますし、何よりせっかちな自分にはぴったりです。球根とオーソサイド水和剤などの殺菌剤をジップ式のビニール袋に少量入れ、唐揚げの要領で軽く振れば均等に薬剤が塗布できます。袋がジップ式だと残った薬剤も再利用できて便利です。薬液に浸漬する場合は、ネットに種類ごとにまとめてそのまま浸漬すると、取り出した後もそのまま陰干しできて便利です。
 培養土は排水の良いモノであれば特に問題はないと思いますが、腐りやすい種類は、川砂などの割合を増やしてより排水をよくしてやった方が安全です。元肥は無くても問題ないと思いますが、私は遅効性の化成肥料を少々いれています。
 植え付ける深さですが、鉢栽培なので浅めにします。球根の大きさにもよりますが、球根の頭がやっと隠れるくらいから深くても2センチくらいまでとしています。腐りやすいモノは浅めの方が安全です。植え付け後の潅水は、涼しくなる10月まで待ちます(関東西部基準)。

潅水

 潅水は「控えめに」の一語につきると思います。栽培環境や種類、培養土にもよりますので一概には言えないのですが、出芽したての頃は7日から10日に1回程度、その後、葉が茂ってくるにつれて乾燥しやすくなりますから、様子を見ながら潅水の頻度を増やしていきます。逆に生育後期、葉が黄ばみ始めたら潅水を減らしていき、乾燥休眠させます。
 日中、気温が上がると、土中の水分量にかかわらず葉がしおれたようになることがあります。特に間延びした株などではひどくしなだれますが、夜になればピンともとに戻りますので、潅水の必要はありません。夜になってもしおれていたら、潅水しますがそれでも戻らなければ、球根が腐っている可能性があります。
 話が前後しますが、植え付け後の潅水については、芽が出るまでやらないという意見と、植え付け後1度だけ潅水するという意見がありますが、私は10月に入ったらとりあえず1度潅水するようにしています。10月にはいると早いモノは出芽が確認できますが、出芽していないモノへの2度目の潅水は出芽を確認してからとしています。ただし、早咲きの種類は出芽が遅いモノが多いので、この辺は様子を見て下旬頃まで潅水は控えています。
 播種後2年目の実生苗などは、球根がまだ小さいので出芽をまたずに10月に入ったら1度潅水をし、以後は完全に乾燥しきったら少量の潅水をして出芽を促すようにしています。

置き場所

 ラケナリアは種類も多くて自生地の生育環境もさまざまですが、日本で普通に手に入るモノは日当たりさえよければ、後は問題なく育ってくれます。寒さには比較的強くて凍らせたり、強い霜にあてたりしなければ戸外でも十分育てられます(関東西部基準)。寒い地方では室内の窓辺や無加温フレームに取り込む必要がありますが、昼間の温度があまり高くなりすぎない方がいいようです。

病害虫

 病害虫の被害は少ないのですが、突然球根が腐ったりしますので、植え付け前の殺菌と日頃の潅水には気をつけます。あと、春にはアブラムシがつくことがありますので見つけ次第、殺虫駆除します。ラケナリアはウィルスにも感染しやすいようなので特に注意が必要です。たくさんの球根を購入すると、なかには怪しいモノ(罹病球)が結構な確率で紛れているので、疑わしいモノは焼却処分するか完全隔離下で様子を見ます。温水浸漬や薫蒸による治療法があるようですが完全にウィルスを除去するのは難しいようですので普通は焼却処分とします。

繁殖方法

 基本的に実生と分球や葉差しによる栄養繁殖が可能です。実生をする場合は種間交雑に注意する必要があります。
 実生は私も経験が少なく、まだよくわからないことも多いのですが、とりあえず秋まきとしています。春蒔きとしてあった文献もありましたが、秋蒔きとしている方が多かったので・・・。播種から発芽までの期間は種類によってそれぞれで、20日程度から2ヶ月もかかるモノもあります。播種方法について特にかわったことはないのですが、発芽までに時間がかかるので、その間にカビたりして種子をだめにしないよう清潔な培養土を用います。播種床はオーソサイド水和剤などで殺菌しておきます。私は栽培スペースの関係で、ジーフィーセブンに蒔き、発芽後鉢上げをしています。 実生苗は過乾燥させないようやや多めに潅水します。ほとんどの種類が3年目には開花するようです。
 分球は自然分球にまかせますが、分球方法にも種類による違いがあるようです。L.mutabilisなどはたくさんの小さな子球(bulblet)を形成しますが、L.unicolorなどは子球をつくらず、分頭する感じで分球します。L.mutabilisから得られた子球は2年くらい培養しないと開花しません。また分球しにくい種類もあり、こういった種類は葉差しにより繁殖します。栽培中に球根が腐ってしまった場合も葉差しが有効です。3センチ程度にカットした葉の切り口に発根剤を塗り、バーミキュウライトなどのさし床に差します。半日陰で湿度を保つと1ヶ月程度で発根し子球を形成します。ラケナリア以外にもガルトニアやアルブカ、ハエマンサス(H.albiflos)なども葉差しができるそうです。

 


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