PART1〜トルコへの道〜


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7/29、我々は関空へと向かう。ある者は自宅から、ある者は別荘から。
簡単なスケジュールを確認しよう。

7/29 関空発 →
7/30 シンガポールでトランジット→
8/01 イスタンブール着→
8/13 チューリッヒ 13:30発→
8/14 シンガポールでトランジット→
8/15 関空着

  決まっているのはこれだけ。現地で宿を取り、土地のにおいを
肌で感じる。夜、翌日の行動を決めたら、目覚めとともに交通手
段を確保、次の土地での新しい世界を模索する。まさに手作りの
旅だ。
スケジュールの都合でイスタンブールからの帰りの便を確
保できなかったため、チューリッヒまでの足も決めなければなら
ない。
  早朝、タクシーに乗り合わせた我々は、京都駅へ向かう。眠そ
うな瞳の奥には、はじめての異国への期待と不安が入り混じる。
京都から関空へ「特急はるか」。快適なグリーン車の中でしばし
の睡眠をむさぼる。

関空に着くと巨大な飛行機を目の前に皆はやや興奮ぎみ。しかし
ここから複雑な搭乗手続きを行なわなくてはならない。この辺は
すべて海外経験豊富な桃頼り。窓際、横一列の席をとってもらう。

10:00離陸。加速によるGが結構怖い。飛行機は思っていたよりあっ
さり離陸した後、すぐに安定する。 こうして我々は日本を後にした。

  窓からみえる景色、エコノミークラスながら快適なシート、おいしい
機内食、そして美人のスチュワーデス。シンガポールエアラインの
空の旅は快適だ。調子にのって英語を使い、それが通じたといっては
また調子にのる。

  まず台北に着く。空港からは出られないが、飛行機から下りて
免税店などを歩く。周りは日本人ばかり、そして店員も日本語を
話してくるのであまり海外に来た気がしない。1時間ほどで飛行機に
戻りシンガポールへ向かう。

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  シンガポールではトランジットで半日ほど時間がある。桃ママの
手作りメニューを参考に、我々は市内観光をすることにした。はじめての
海外旅行に不安気な我々をよそに桃はぐいぐい引っ張っていく。東南アジアの
顔を持ち、マレーシアで生まれ育った桃にとっては、シンガポールは
庭のようなものだ。
  空港からの交通手段はタクシーしかない。これは結構不便だ。しかも
おっちゃんには英語が通じない。日本製の地図をみせても分からない。
結局他の運ちゃんに聞いてくれて何とかオーチャードロードへ。
ここはシンガポールの中心街。高島屋や伊勢丹など日本出資のデパートも
目立つ、シンガポール、いやアジアの買い物ストリートだ。
  まず我々は、桃を先頭にデパートの地下食堂へ行く。なぜいまさら
地下食堂なのか。Mは頭をかしげたが桃の意図はすぐ明らかになる。
並んでいる食べ物が全然違う。果物にいたっては形から色から、
この世のものとは思えない。角のはえているもの、星型のもの。ここでも
桃はジモティーぶりを発揮し、????のジュースをこともなげに
買って飲む。うまい。さて、われわれも負けてられない。
  のたのた歩いているとそばのサラリーマン風のおっちゃんが
「コレ、オイシーヨ」と日本語で話し掛けてきた。どれどれ。なんじゃ
こりゃ。メロンくらいの大きさ。色もそんな感じ。しかしカタツムリの
角のようなイボイボがある。こ、これがかの有名なドリアンか。
うーんキミョウキテレツ。何よりも強烈なにおいがわれわれに二の
足を踏ませる。しかし現地の人はこれがないと生きていけない、と
いうほど好んで食べる。買うしかない。ドリアンそのままではなく、
カキ氷の上にすった身をのせたような形。食べてみる。まずい...  
  オーチャードロードを後にし、我々はラッフルズシティーへ向かう。
ここも繁華街だが中心から少しはなれた、上品なスポット。京都で
言えば北山通りにホテルを並べたような感じである。オーチャードからは
地下鉄で行く。きれいで静かな電車だ。ふとみると車内で飲食をしたものは
S$500(35000円)の罰金とある。噂には聞いていたが、罰金の国シンガポールを
目の当たりにした。ラッフルズを歩いていてもゴミひとつ落ちていない。
きれい過ぎて気味が悪い。白河よりも濁れる日本いまは恋しきといった
ところか。

シンガポールのバザールで食事をするサエない面々


  さて、ラッフルズではバザールのようなところに入った。 CDやら
お土産やらが売っている。しかしメインは食い物屋。まずフルーツジュース。
さっきの失敗を教訓にドリアンは避ける。桃は同じ??のジュース。
言葉のできないハム男は桃と同じ。Mはショーケースに並ぶ奇怪な
フルーツを眺め、決める。切り口が星型のその名もずばり「スターフルーツ」。
おばちゃんに言うとそれをミキサーにかけてくれる。日本では味わえない、
生スターフルーツジュースだ。飲むと...うげ。何とも青臭い。
例えて言うなら、キュウイとキュウリを混ぜたような味。
酸味と甘味が妙に溶け合ってドリアンに続く失敗作となる。

  キャプテン仏ディーはというと、ショーケースの中のさらに変なものに
挑戦しようとしている。ヘチマのような形で、身が赤い。まず名前を
聞こうとした仏ディー、それを指差し何やらいっている。すると
おばちゃん、おもむろにその上にあったパイナップルを取り出し、呆然とする
仏ディーに「5dollars」と告げる。かくして仏ディーはシンガポールの
不思議なフルーツを前に、唯一とも言える見たことのあるフルーツ、
「パイナップル」のジュースを飲むことになった。その後、
機内食があるというのに、活気のある屋台を前に押さえがきかなくなった
我々はいくつかの料理を食べあさり、しかもほとんどが失敗に終わって
飛行機に向かうはめになった。

  イスタンブールへの機内。シンガポールまでの便は日本人が多く、
日本語ができる添乗員もいたりして、安心感があった。しかしこの便は
ほとんどが外人(我々の方こそ外人なのだが)、そして機内放送もいっさい
日本語無し。しかもここからはダーラン(サウジ)経由で、12時間の
フライトなのだ。  

  さっきからどうも腹の調子がおかしい。ドリアン、スターフルーツの
ダブルパンチか。特にドリアンを捨てた罪悪感から、スターフルーツは

全部飲み干してしまった。機内食がきた。詰め込んでごまかしてしまおう。
う。機内食の系統が先ほどと違う。脂っこい。野菜が青臭い。げえ。
ドリスタを思いだす。吐き気がする。外でも見よう。窓からは何も見えない。
時差があるし寝てしまおう。寝れねえ。エコノミーは狭すぎる。
でもスチュワーデスは美人だ。  

  真夜中。ダーラン(サウジアラビア)に着く。飛行機を下りることは
許されていない。白装束の、アラビア系の男達に、さらに遠い異国に
来たことを感じつつ、飛行機は離陸体制に入った。そのとき、天井から
水がぽたぽた落ちてくる。桃と、桃の隣の熊のような西洋人の席だ。
最初は少量だったが次第に量が多くなってくる。添乗員の説明では
エアコンの水が漏れている、ということだが、そうと分かっていて
も飛行機の中で水が漏れたりしたら恐ろしい。結局水は止まったがシートが
びしょびしょになった桃と熊外人はビジネスクラスへ移されていった。
三つ並びの席の内、二人が移され、一人残ったMは彼らをうらやみ
必死で濡れる演技をしていたが添乗員はそれどころではなかったらしい。
すべてが片付いたかに思われ、飛行機は離陸し始める。とその時、再び
水が落ち始める。加速度から、今度はひとつ後ろのシートへ。後ろの外人達は
もう飛行機が斜めになっているというのに、立ち上がって大声で
わめいている。機内が騒然となる。Mも一緒になって濡れたふりを
する。しかし結局そのあと自然に水は止まり、シートの取り替えが終わった後、
桃と熊人もかえされてきた。こうしてエコノミークラスの、
ビジネスクラス奪還革命は失敗に終わる。

  そして長い長いフライトの後、我々は遂にイスタンブールに到着した。

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