PART16〜ハマム体験〜
晩飯。街をぶらついて適当な店に入る。一瞬ちょっと高
そうな店にみえたがメニューを見るとそうでもなく、料理
がメチャクチャうまかった。思わぬ見つけものをしたもの
だ。
ロープウェーと並ぶ、ブルサのもう一つの楽しみ。それ
はハマム、いわゆるトルコ風呂である。この辺は温泉が出
るらしく、名物の一つになっている。もっとも体を洗って
くれるのは男性である。悪しからず。
ホテルのおっちゃんにどこかにいいハマムはないかと聞
いてみたが、よく知らないそうだ。もっとも大体の場所は
分かるからその辺で探すのがいいのでは、とアドバイスを
くれる。そして、
「僕の友人に頼んでそこまで連れてってもらおう。」
とまで言ってくれた。この友人、オランダ人なのかオラン
ダに出稼ぎに行ったのか英語力不足で分からなかったが、
何ともマヌケで、自分の車をどこに置いたか失念してしま
ったようだ。何とか探しだし、荒々しい運転で出発する。
おしゃべりな人で家族のことや仕事のことなどを話してく
れたが、仏が話し掛けた時まるっきり無視したのは、恐ら
くそれが英語に聴こえず日本語で話してると思ったからだ
ろう。温泉街付近で降ろしてくれ、タクシーを止めてハマ
ムに連れてくよう話を着けてくれたが、どうせタクシーに
乗るなら始めっから乗っても同じなのでは、と少々理解に
苦しんだ。
タクシーの運ちゃんのおまかせでハマムに到着。受付で
貴重品を預ける。ヘビーメタラーのお兄ちゃんが優しく出
迎えてくれる。料金はいくつかのコースがあって、よくわ
からなかったがフルコースを選ぶ。390bin。まわりを見る
と日本人どころか外国人らしき人は我々のみで、注目を集
めてしまった。地元の人も使う、庶民的なハマムらしい。
サッキ監督のような人が来て、最初に病室のような部屋に
案内され、服をぬいで指定のパンツをはかされる。日本の
銭湯と違って裸で入るようなことはない。サッキにマッサ
ージをしてもらうのかと思ったらそうではなく、マッサー
ジ室のようなところに連れていかれる。まず、隣のサウナ
に入りじっくり汗をかく。しかしMはこういうのは苦手
ですぐに出てしまう。ほとんど出ないシャワーを浴びた後、
少し順番を待ってからいよいよ体を洗ってもらう。最初は
垢擦りから。想像していたほどゴシゴシこすらず、痛いと
いうよりは気持ちがよい。洗ってくれるにいちゃんは愛想
がよく、言葉は通じないが遠い日本からきた我々に精一杯
サービスしてくれているように感じた。頭を洗った後台の
上に乗っかって体を洗ってもらう。このときの使う石鹸は
サンタクロースが持っているようなでっかい袋に入ってい
て、やたらぬるぬるする。それで背中やら太股やらをモミ
モミされるので、くすぐったがりのMは悶えまくり、そ
れを見てにいちゃんは喜んでより激しくモミモミするので
あった。
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入浴後はホカホカタオルをかけてくれる |
全員それぞれ体を洗った後、大浴場に向かう。ここの浴槽は、
まるでギリシャ時代の公衆浴場のようで、天井が高く大理石(の
ような石)でつくられ、まわりが階段のようになっていてそこで
皆くつろいでいる。しかしマナーは(我々から見ると)よくなく、
泳いだり飛び込んだり桃のパンツを盗んだりする人がいた。
湯から出た後は頭、肩、腰にほかほかのタオルをかけてくれて、
とても気持ちがよい。
一通りの過程を済ませると、やっぱり体が綺麗になったような
気がする。肌がスベスベするのだ。もっともこのところろくにシ
ャワーが出ず、ちゃんと体を洗えなかったのだが。病室で少しく
つろぎ、帰ろうとするとホールの売店のにーちゃんがジュースは
いらんかね、と言ってきた。財布を預けたままだからお金が無い
んだよ。というと
「NO PROBLEM」
と言うので無料かと思ってジュースを飲み、受付にいって荷物を
返してもらってそのまま帰ろうとすると、にーちゃんが大慌てで
追い掛けてきて、金を払え、といってきた。何だ、後払いなのか、
と我々は苦笑したがにいちゃんの目は笑っていなかった。
ホテルに帰り、おっちゃんと話をする。390binは妥当な値段だ
と言われ、ほっとする。おっちゃんは色々親切にしてくれ、ジュ
ースを持ってきてくれたりし、ロビーでハマムあがりのくつろぎ
のひとときを過ごした。