PART22 〜旅の終わり〜

 中華街を歩いていると、中心部との違いに驚く。建物は汚なく、
オーチャードにはゴミ一つ落ちてなかったのに、ここの道はゴミだ
らけだ。シンガポールはすごい勢いで発展したが、この辺に少し歪
がきているのかも知れない。日本人の言えたセリフではないが。

 中華街の真ん中辺にある雑居ビルのようなところに入る。そこに
は屋台感覚の店がところ狭しとひしめいていて、なかなか活気があ
る。そんなに腹は減っていなかったが安いし、何か食っていこう。
最初の店で桃が鴨のドンブリ、Mがチャーシューのドンブリに挑
戦。なかなか旨いが、死ぬほど旨いという訳ではない。どうも中華
街というと過大の期待をしてしまう。もっともかなり安いので値段
の割には死ぬほど旨い、といっておこう。ここの店の叔母ちゃんが
愛想がよく、言葉は通じないのだが筆談で少し会話をする。もっとも
「日本?」
「うん」
というだけだが。次に桃、仏、ハム男が、別の店に挑戦。Mはもう
要らなかったので最初の店で待っていた。三人がテイクアウトでここ
まで持ってくるものと思っていたが、なかなか来ないところを見ると
その場で食べているらしい。ボーッとしているといつの間にやら寝て
しまう。
 しばらくして三人が帰ってくる。仏が汗だくだくなところを見ると、
相当辛かったようだ。何を食ったか色々説明してたようだがボーッと
していてよく覚えていない。ここで突然大雨が振り出した。熱帯の雨
は死ぬほど激しい。身動きできなくなった我々はそのビルの中でしば
らく時間をつぶす。相変わらずの激しい湿気にハム男は死にかけ。
 雨が止んだところで、すかさずバスに乗りオーチャードを目指す。
ハム男がかなりしんどそうだったがシンガポールに来て買い物せずに
帰るわけには行かない。

 オーチャードではたくさんニセモノを売っている。呼び込みは
「ニセモノだよー、本物そっくりだよう」
と全く悪びれない。その店の一つにはいると、あるある、偽者が山の
ように積まれている。鞄などもあるが主に時計である。本物は到底手
が出ないが、ニセモノは3000〜10000円程度。買わない手はない。M
はホイヤーを一個と、妹のためにGUESSを一個。しめて6000円。果たし
て得か否か。因に日本に帰ってからGUESSの方は一ヶ月位でバンドが切
れ、ホイヤーは鎖の金具がはずれてバラバラになった上に文字盤の飾り
が取れてカラカラする。さらに日付が夜の9:30くらいに変わってしまう。
 もっと買い物したかったがハム男が死にそうで、とりあえずこれが欲
しい、という目的もなかったので結局ニセモノ二つを買っただけで空港
に帰る。

 空港でトランジット用のホテルを借りて休みたかったが何と満室で入
れず。もっともシンガポールの空港はすごく綺麗でソファーでも十分気
持ちいい。シャワーも混んでいたが何とか浴びたあと、ソファーでくつ
ろぎながらこの2週間の小さな冒険を反芻する。まったくの異文化に触れ、
多くの歴史を知り、そしてさまざまな人に出会った。決して大胆な旅行で
はなかったかも知れないが、世間知らずのわれわれには多くの驚きがあっ
た。そして、後は23:25の搭乗を待つのみである。

 

EPILOGUE

 朝5:00前。シンガポールからの短いフライトを終え、関空がみえて
くる。同じ景色のはずなのに、2週間前見たそれとはいくぶん違ってみえ
たのは気のせいだろうか…

 

 

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