分類と分布

 ラケナリアは、ユリ科ラケナリア属(Liliaceae Lachenalia)に分類される球根植物で、属名はスイスの植物学者にちなんで名付けられました。園芸上では半耐寒性秋植球根として扱われています。南アフリカに固有で100種余りが確認されていますが、個体差が大きく交雑も盛んなため、その分類は容易ではないようです。
 ラケナリアのほとんどの種類が南アフリカの西岸方面に自生しており、海岸沿いの草原やveldと呼ばれる草地帯に多く見られるようです。この辺りの気候は比較的温暖で、冬に雨が多く降るのだそうです。栽培に当たっては、こういった自生地の環境を念頭に置いておく必要があります。
 ラケナリアの中には、ごく限られた地域に特有な種類も多く、都市開発や農地開拓によって絶滅に瀕している種類も少なくないそうです。L.viridifloraは日本でもよく知られている普及種ですが、自生地はすでに開発や乱獲のために絶滅状態にあり、一部の私有地内でしか見られなくなってしまったそうです。

花について

 ラケナリアの花は、花被と雄蕊、雌蕊から構成されていますが 、外花被片が内花被片より短いという特徴があります(もちろん例外もあります)。花の形はさまざまで、とうてい同属とは思えないモノもありますが、大分すると以下の3つのタイプに分類できます。
1 円筒状(cylindrical)花 代表例 blubifera,aloides,rubidaなど 
2 壺状(urceolate)花 代表例 carnosa,mutabili,eleganceなど
3 ベル状(campanulate)花 代表例 campanulata,zeyheri,mathewsiiなど
が、完全にこの3タイプに分けられるかというと、そういうわけでもなく、中間タイプやこれ以外のタイプもあります。
 花色は白から赤、黄、緑、青、茶などまさにいろいろです。中には花色が経時的に変化するモノ、1つの花が何色もの色で構成されているモノもあり、それらのグラデーションには言い表しようのない美しさがあります。

葉について

 ラケナリアは多肉植物として扱われることもあるように、葉は肉厚なモノが多く変化に富んでいて、花がない間も十分に楽しめます。葉に茶褐色や赤褐色の斑点模様がある種類が多く、ラケナリアの特徴となっています(もちろんない種類もあります)。ちなみにこの斑点模様は、同じ植物でも強光下で育てた場合は濃くなり、日陰では薄く(無く)なります。
 葉の形もいくつかのタイプに分類することがでそうですが、花形の分類よりは煩雑になりそうなので、各種類の説明の項をご覧ください。
 また、意外に思われるかもしれませんが、この仲間は葉差しによって比較的簡単に増やすことができます。

球根について

 ラケナリアの球根は鱗茎(bulb)で、これは全ての種類に共通なのですが(たぶん)、大きさや外観は、花や葉同様にさまざまです。球根の大きさは直径5ミリから30ミリ程度までですが、小さめの球根でもちゃんと花を咲かせてくれます。

種類

 前にも述べましたが、ラケナリアの種類は100種以上もありますので、ここでは私が栽培しているモノを中心に説明します。
現在実生苗も含めて約37種類ほど育てていますが、中には種類がはっきりしないモノもあります。 栽培している種類の一覧はこちらです。

 


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