プロローグ



 今年のGWは4/29が木曜日で、金を休んで月火水と連休、さらに木金を休めば十一日間の連休となる。これだけまとまった休みはそうそうないので、海外にでも行こうと思い立ったのが3月末。行き先はどこでもよかったけど、社の先輩のHさんが行っているイギリスにすれば2,3日分の宿泊費は浮くはず。更にHさんいい人だから何回かは晩飯でもおごってくれるかも。

 ところがやはり一年でもっとも日本人が動く季節。今年は日程のよさも手伝って、この不景気の中、久々に海外渡航者も前年を上回ったという。一ヶ月半前だというのに28,29日発の便はまったくない。27夕方発の香港経由キャセイパシフィックならあるといわれるが、これだとほぼ丸々二週間休むことになる。3分間悩んだがやっぱり行こう。予約しちゃえばこっちのものだ。料金は15万とさすがに割高だ。6日帰国の中途半端な日程ならば11万というやつもあったが、せっかくヨーロッパまで行くんだからなるべく長くとりたい。


         




 


初日 −ヒースローへ−




 出発は27日18:00成田。4月から勤務している名古屋から東京に戻ってきたが、どうしても出発前にやらなければならない仕事を残してしまったので仕方なく27日は東京のオフィスに出勤。簡単な仕事だったのですぐ終わったが、18:00までやることがないのでほかの人の邪魔をして、成田に向かう。

 キャセイパシフィックは香港の航空会社。初めて使う航空会社だ。香港でのトランジットは2時間程度と香港見物するには中途半端な時間で単なる乗換えしかできないのはちょっと残念である。

 トランジットの際、ちょっとした列を作ることがあったのだが、係りの人は、周りの人には「謝謝」といってるのに自分には「アリガトー」といっていた。同じ東洋系でもやはり日本人とわかるのだ。たしかに、どこが、いわれれば困ってしまうが、韓国人や中国人、日本人を見分けるのはわりと容易である。出発は40分ほど遅れて2時間程度待つ羽目になった。香港ドルを替えるのもバカらしいので、いわば一文無しである。最もいまさら香港の免税で買い物、という年齢でもないし、ロビーで本を読みながら時間をつぶす。

 Hさんの話では成田からヒースローまで12時間程度、という話だったが、香港からヒースローまでも12時間程度ということである。結局香港までの約5時間とトランジットの2時間は無駄ということになる。もう少し早く動き出していれば直行便も取れたのだろうけど。でもキャセイパシフィックのサービスは悪くなく、機内食もうまい。いつもは飛行機ではなかなか寝れないのだがガーっとビールを飲み、また飛行時間帯もよかったのだろう、6時間ほどワープできたたので永いフライトもあまり苦にならなかった。ちょうど朝食の時間程度に目がさめ、あと数時間でヒースローだということを知り、次第に期待が高まってくる。

目的地をイギリスにしたのはHさんが住んでいるということの他にもうひとつあった。4歳から6歳にかけて父親の仕事の関係でロンドンの南、ウッドマンスタンという町に住んでいたことがあった。おぼろげな記憶と写真のなかの風景を自分の目で確認したかったのである。またちょうど昨年の夏、母親が旅行してきて当地やその他の話を聞かされており、そのうち必ず行ってみたいという思いが膨らんでいった。その際はぜひ一人旅にしよう、とも。と、言うわけでいくつかの条件が重なったわけである。

ヒースロー着は朝5:20。Hさんはわざわざコベントリーからこの早朝に迎えに来てくれるとのことだ。ちょっと申し訳なく思うが、やはり現地の人が迎えに来てくれるととても心強いものだ。