Date: Wed, 26 Feb 1997 23:35:50 -0500
From: Miyachi Takahiko miyachi@tokyo1.phy.bnl.gov
Subject: From New York I --All the Way to JFK
* Mは今、実験のためにニューヨークに来ています。せっかくメールという便利なものがあるので、こっちでの生活を報告したいと思います。去年も同じことをしましたがアドレスを知ってる人がぐっと増えたので、もうちょっと気合いいれてやります。とりあえず今回はこっちに来るまでの話。長くなるのでお仕事中の人はとばしておくれ。 |
およそ一時間半遅れで離陸。UA航空といっても半分以上は日本人のようです。となりを見ると女の子3人組。今までの飛行機は全て隣はオヤジかヤローだったので、今後12時間のフライトの展開を予想してM、鼻の下のびるのびる。それにしても、何でUAのスチュワーデスはいつもいつもおばちゃんばっかなんだろう。Mのエリア担当はキキ麒麟(字わからず)風のアジア人と今にも床をぶち抜きそうなfat mama。愛想はいいんだけどその分サービスが遅い。 乗ってすぐ、おしぼりのサービスのときに、隣の女の子がおもむろに「あのー、ちょっと寒いんですけど」と自身満々に日本語でスチュワーデスに話かけました。スチュワーデスは困ってしまい、女の子がパニックになってるところへ満を持してM登場、流暢な英語で通訳してやると、どうやら通じなかったようで、スチュワーデスはますます困ってしまい、女の子はますますパニックになってしまいました。結局見ぶり手ぶりでエアコンの操作を教えてもらいました。まあ、あんまりカッコよくはなかったけど、とりあえずきっかけはつかんだぞ、と。なんでも、輸入雑貨の小売の会社に勤めていて、N.Y., L.A., ラスベガスをまわって買付けをして来るそうだ。10日足らずで3都市をまわるんで、遊ぶ暇は全然ないんだよー、と言いながらすごく充実してるようでした。同い年くらいなのに会社の中心でばりばり働いてすごいなーなんて思いながらも電話番号まで聞き出せなかったMは相変わらずヘタレです。 女の子から借りた携帯パックマンをやりまくってめがショボショボしてきた頃、機内放送。「当機は間もなくニューヨークJFK空港に到着します。時刻は16:00,気温は摂氏0度。なお当機の機長レイはこのフライトで33年のキャリアに終止符をうちます。」おいおい、33年のキャリアっていったらもう60近いんじゃねえの?大丈夫か?そのうち機が着陸体制には入りました。大学院に入ってから結構飛行機に乗る機会が増えたんだけど、何回乗っても着陸っていうのはいい気分しません。つーか、正直言って恐いっす。そんなMの気分を知ってか知らずか、われらがキャプテン、レイは、余命いくばくもない体にムチ打って、羽毛ブトンが如く軟らかい着陸を成功させ、彼の人生の総決算を締めくくりました。スチュワーデスは「このランディングは彼のキャリアを讃えるのに十分素晴らしいわ」と称賛し、無事に機が静止すると機内の乗客から拍手がおこりましたが、これはレイの長年のキャリアに対する礼賛とねぎらいからのものなのか、あるいは彼が心臓発作を起こさず無事着陸できたことへの安堵感からきたのものなのかは微妙なところです。 当初、JFK空港から研究所まで一人で行かなければならない予定だったんだけど心細いんで結局迎えに来てもらうことにしました。ただし空港で5時間待てとのこと。ソファーで仮眠しようとしたら熟睡してしまい、ころげ落ちて、気づいたら地べたに はいつくばっていた、というちょっと恥ずかしい思いもしましたがパスポートを盗まれることもなく、迎えに来た人々と晩飯を食いにマンハッタンヘ向かいます。 空港からはマンハッタンまでは国道495でいきます。この道はマンハッタンに入る前に少し高いところを通るので遠くから町を一望できます。夜のマンハッタンは初めてですが、噂にたがわず非常にきれいです。特に平日と言うこともあって灯のまだついているビルが多く、カイワレ大根のようにひょろひょろ伸びたビル群が夜の空に映え、幻想的な雰囲気を醸し出していますが、一昨日の日曜日エンパイアステートビルで銃の乱射事件があり数人が死傷したところなんかはこの国ならではでしょう。 今日は時差ぼけもあって六時に目が醒めました。昨日リトルイタリーで調子に乗って飲みまくったワインの二日酔いもなく、爽快です。宿舎は大きなアパートメントを借りてそこで何人かで共同生活をする予定だったんだけど、人数の関係で結局個室の宿舎になりました。で、なんと、きしくも去年と全く同じ部屋になり、なんとなく運命を感じてしまいます。ここの宿舎は一室一室が広く、木目調で、筑波の高エネルギー研究所の病院のような宿舎とは雲泥の差です。朝飯を食いにカフェに行くと、レジのおっちゃんが覚えてくれていたようで「Hi,welcomeback !」と歓迎してくれ、嬉しくなりました。適当に朝飯を食べたあと、ばちもん屋で買った青いサングラスをかけ、りんごをかじりながら外に出れば気分はすっかりニューヨーカー。N.Y.での一カ月が始まります。
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* 日本からもメールおくれ。今までアドレス(ieux01っていうやつ)でもいいです。だからっつって、別にニューヨークに行ったふりして夜中こっそり研究室に籠って、あることないこと書いてるわけじゃないよ。念のため。 * このメールを受け取った人で、こんな一人よがりの自慢話、聞きたくねーよ、という人がいたら、遠慮しないで、何も言わず心の奥底にしまっておいて下さい。一生懸命かいてるんだからさ。 *それじゃあ来週のメールもまた、見てくださいねー。 んがっくっく
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