Date: Mon, 3 Mar 1997 02:11:05 -0500
From: Miyachi Takahiko miyachi@tokyo1.phy.bnl.gov
Subject: From N.Y. II -- The First Weekend

   


* Hello, Guys.

* おっと失礼。つい英語が口をついてしまったMです。N.Y. は雨模様のグラミーウィークエンド。B.G.M. はCCRの「雨を見たかい」で、"From NewYork" 第二段、いくぜ!


 アメリカ人は毎週末に名前をつけます。フットボールのスーパーボールがある週はスーパーボールウィークエンド、2/14を含む週はバレンタインウィークエンド。今週は水曜日にグラミー賞があったので「グラミーウィークエンド」です。日本では本屋でFM Station を立ち読みするぐらいだけど、こっちでは結構盛り上がってます。最優秀何とかはクラプトン先生が取ったようです。毎年波乱の多いグラミー賞ですが、今年は妥当な選定ではないでしょうか。 

 この最初の週末、Mはマンハッタンに遊びに行こうと計画していたのですが、グループの何人かは仕事があるそうです。残念ながらMは、3月はノー残業デー月間にすることにしたので、土日は仕事をすることはできません。また仕事の無い人達も、しんどいので土曜は寝ていると言うことですが、手を抜きまくって仕事をしているMだけが遊ぶ気まんまんです。まあ他の人達は長期滞在なのでいつでも遊びに行けるということなのでしょうが、Mは一カ月しかいないので毎週末は大切にしなければいけません。

 しかし遊びに行く人間一人が車一台を占有するわけにもいかないのでどうしようかと考えていたところ、他のグループの、村松さんという人が遊びに行くということを聞きつけ、便乗させてもらうことにしました。この村松さんという人は、布施明を縦方向に押し潰したような、やさしそうな、なかなかの男前ですが、去年の晩秋、買ったばかりの車でロングアイランドをぶっ飛ばしているときに前輪が突然バーストし、ハンドルを取られて反対車線を横断、道路沿いのブティックのガラスのショーウィンドーに突っ込んでいったというブルース・ウィルスばりの一面もあることを忘れてはいけません。 

 研究所からニューヨークシティーへのアクセスは二通りあって、車で行くか、あるいはロングアイランド鉄道を使うかですが、今回は村松さんの車で直接シティーに入りました。小雨がぱらつくあいにくの天気でしたが、雨に濡れそぼるマンハッタンもなかなかおつなもので、エンパイアやクライスラーなどのノッポビルはてっぺんが雲にかくれています。 

 特に何がしたいというのは無かったのですが、アメリカに来た最大の目的はバスケット観戦だったので、とりあえずマジソンスクエアガーデンに向かいます。去年は電話で予約しようとしたのですが、勝手がわからず、また相手が何を言ってるかわからなかったので失敗に終わりました。直接券売場に行けば、身ぶり手ぶりでなんとかなるだろう、という算段です。

 ニューヨークのバスケのチームは「ニューヨーク・ニッカボッカーズ(通称ニックス)」。ホームゲームは全てマジソンスクエアガーデンで行われます。シーズンの予定表を見ると…。何と来週の対戦相手はシカゴブルズ。NBAのNo.1チームで、Mでも知ってる選手が何人もいます。さすがにこのチケットは取れないかも知れませんが、翌週のN.J. Netsなど面白そうなゲームがあります。期待に胸を膨らませて列につき、待つことおよそ一時間。ジョーダンのゴリラ顔が、ロッドマンのチュッパチャップス頭が目の前をちらつくMに券売所のおっちゃん曰く、

「All the season games of basketball are SOLD OUT」がびいん。 

放心状態で歩くMをひきずって、村松さん達は「プラネットハリウッド」で昼飯を取ることにしました。ここは「ハードロックカフェ」のハリウッド版のようなもので、ハリウッドの往年のスター達の遺品(死んでたら)や、映画で使った小物などが展示されていて、その中でアメリカンフードを食います。チーズバーガーが$8.90とやたら高いやんけ、と思っていたら、やまもりのポテトフライとともに20cmくらい(高さが)のチーズバーがーがでてきました。チケットが取れ無かったショックが尾を引いて全部食べれず。 


飯を食ったあと村松さん達とわかれて、ひとりでマンハッタンを散策しようと考えました。とくに目的は無かったのですが、とりあえずメトロポリタン美術館へ向かいます。この美術館は、イギリスの大英博物館、サンクトペテルブルグのエルミタージュ、パリのルーブル、世田谷区桜新町のサザエさん博物館と並ぶ世界の5大ミュージアムの一つである(「地球の歩き方」より)。別に美術品とかに興味があるわけじゃないんだけど、N.Y.に来たら一応行っておかなきゃ。うちの妹はパリに行ったときルーブルの前で写真を取った次の瞬間ヴィトンの店に駆け込んだらしいけど、まあそんなもんです。


 

 この美術館、236の世界最大のギャラリーを誇り、「地球の歩き方」では絶賛してるんだけど、レベルの低いMにはあまり良くわかりません。絵を見るときの立つ位置はこの辺でいいのかな、もうちょっと首をかしげたほうがいいのかな、口は半開きの方が通っぽいだろうか、とか変なことばかり考えて、丸一日かかっても全部見るのは難しい、といわれる館内を、ものの30分で走破してしまいました。 

美術館を出て地球の歩き方を斜め読みしながら考え、次はTOWER RECORDに行くことにしました。美術館からはセントラルパークをつっきって行くのが近道です。セントラルパークは摩天楼のそびえるシティーの真中にあり、ニューヨーカー達の憩の場で、週末ともなればジョギングや散歩、パフォーマンスをする人で溢れ返りますが、さすがに雨の中ではほとんど誰もいません。と思ったら結構ジョギングしてる人はいました。雨でビタビタになりながら寒さに震え、リトバルスキーの様な悲しげな顔で走る彼らを駆り立てるのもは何なのでしょうか。土屋先生が見てるわけでもないのに。

公園の中央の池の脇を通るとリスや鴨がいました。鴨は首から上がわざとらしいくらいきれいな緑色で、西洋の絵本を思い起こさせます。Mの知っているカモとは、ネギしょって雀荘に来るやつだけなので余計新鮮です。 

TOWER RECORDS はキムタクと山口智子の出ていたドラマ、「ロング・バケーション」で一躍有名になったジュリアード音楽院の正面にあります。当然CDを買いに来たのですが、一枚あたり$12.99+TAX 8.5%と、輸入版を日本で買うのとそんなにかわりません。むしろちょっと高めです。しかし、N.Y. で買ったと言う事実が大切なのです。「おっ、シェリルクロー買ったの?」「うん」「どこで?」「うん、ちょっとね、ニューヨークでね」。これでんがな。もっとも、どこでCD買ったかなんて聞く人はあまりいませんが。

結局あんまり欲しいのが無く、一枚だけ買うことにしたのですが、店員が、目ン玉が見えないくらいホリの深い、ベトナム帰りのようなスパニッシュで、「one dollar, two doller」とぶっとい声でおつりを返すので、びびって買ったCD置いて来ちゃいました。ヘラヘラ愛想笑い浮かべて取りに返ったら、ニコリともせず、脅しつけるように「Sir...」といわれた。もう二度とこねーよ。 

その後どうしようかと考えたんだけど、何かつかれちゃったので帰ることにしました。メール書くほうもつかれちゃった。

帰りは車が無いので、Long Islnad RailRoadという電車を使って帰ります。この電車は中流から上の階級の住む住宅地へ向かうので、危険の多いアメリカの鉄道のなかでも比較的安全と言われ、ハプニングと言えば、4年前(Mが3回生のとき)、ショットガンの乱射で数人が死亡した事件まで遡らなければなりません。

LIRRを始めN.Y.から出る長距離列車は全てペンシルバニア駅(通称ペンステーション)を起点としています。ここから約一時間半、終点のロンコンコマ駅までいって、そこから電話して迎えに来てもらいました。今日はやたら歩いた日でしたが、帰って地図を眺めて見ると15kmほど歩いたようです。その割には実りが少なかったような。


 

 * ここまでが土曜日のお話。今日の日曜日は近場を少しまわったんだけど、何かむちゃくちゃ長くなったのでまた明日にでも書きます。もう2時だから寝なきゃ。ちょっとメール長すぎるかな?何しろこのくらいしか楽しみが無いのだ。ほいじゃまた明日。もうちょっと簡潔にまとめるっす。


 

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