19/APR/2001 -Thu- UEFA/CL大詰め プロサッカーのシーズンは大体9月-翌5月。したがって今の季節は
各リーグ大詰めである。そして昨日、今日とビッグゲームが続いた。
多くの国がひしめく欧州大陸では、各国内のリーグの他に、国際間のリーグがある。
欧州3大カップといえば、チャンピオンズリーグ、UEFAカップ、カップ・ウィナーズ・カップ
である。
一昔前までは、各国リーグ(日本で言うJリーグ)の優勝チームがチャンピオンズカップ、
各国カップ戦(日本で言う天皇杯)の優勝チームがカップ・ウィナーズ・カップ、
そのどちらにも出場できないが、上位の成績を残したチームがUEFAカップの出場する、
という構図だった。
しかし各国リーグ自体レベル差があり、優勝チームの集うチャンピオンズカップでも
大味な試合がある一方、各国一チームしか出場できなかったため、強豪リーグの
2,3番手がUEFAカップにまわらなければならなかったことから、3,4年前から
チャンピオンズカップをチャンピオンズリーグと改め、強豪リーグの上位数チームが
出場できるが、弱小リーグの優勝チームは予選を勝ち抜かなければ出場でき
なくなった。これによりチャンピオンズリーグのレベルは確かにあがったが、
「弱小リーグ」に所属するチームにはやや不公平な体制となっている。
さて、昨日18日はチャンピオンズリーグ準々決勝、イングランド・プレミアリーグの覇者、
そしてここ数年クラブチームの頂点に君臨しているマンチェスター・ユナイテッド対、
ドイツ・ブンデスリーガの雄、バイエルン・ミュンヘンの英独対決。この勝者がトルコの
ガラタサライを退けたスペインのレアルマドリードと準決勝を争うことになる。トーナメントの
反対側の組み合わせを考えると、この三者の中から優勝チームが出る確率が
高そうである。
そして今日19日はUEFAカップ準決勝、プレミアリーグの古豪、リバプール対、
スペインではレアルマドリードと常に双璧をなすライバル、バルセロナとの、
こちらも興味深い組み合わせである。BBSではこの2試合はずいぶん前から
宣伝していた。
まずM.U対B.M.。チャンピオンズリーグ、UEFAともに決勝は一発勝負だが、
それまではホーム・アンド・アウエーの2試合が行われる。M.U.はホームでの第一戦を
落としており、なんとしてもこの試合は勝たねばならない。
しかし唸りを上げるほどの大声援をバックにB.M.が押し気味。それもそのはず、
2年前のチャンピオンズリーグの決勝、同じ組み合わせの対決で、
90分経過したところでB.M.が1点リード。ロスタイムのみを残し、
勝利を確信し、大黒柱のマテウスを下げた直後、2発のコーナーから立て続けに
2点を失い、奇跡の大逆転を喫した苦い経験がある。この日の彼らはその怨念を
背負っているのだ。その後押しを受け、前半早々にいきなり2点を先制し、トータルの
点差を3とする。
一方マンチェスターはエースのベッカムを欠き、全く精細がない。ギグスのラッキーな
ゴールで1点を返すが、クロスに精度がなく、コール、ヨークの自慢の2トップは全く不発。
ギグスも、得点こそ決めたものの内側でプレーすることが多く、最後までミラクルドリブルは
見られなかった。2年前の再現を、と、シェリンガム、ソルスケアを立て続けに投入するが、
時計の針を進めただけであった。
B.M.はエッフェンベルグを中心に、ドイツらしいスペースを大きく使ったサッカーを
展開。全く危なげない勝利だったといわねばならない。エッフェンベルグは往年のキレは
ないものの、やや後ろ目でボールをさばくことに専念し、逆に円熟味を増した見事な
ゲームコントロールをみせた。このゲームのMVPは間違いなく彼であろう。
UEFAカップはチャンピオンズカップに比べ、扱いが軽くなるのは当然だが、ファンに
とってはそんなことは関係なし。ものすごい盛りあがりだった。イングランドの若き
ストライカー、オウエンを要するリバプールに対し、圧倒的な資金力で選手を
かき集めるバルサ。前評判は後者のほうが高かったが、リバプールはアウエーの
第一戦を0-0のドローで切り抜けており、今回はホームのファンの心強い声援を
味方につけて戦うことが出来る。
バルサはクライフェルト、リバウドの恐怖の2トップ。中盤にはプチ、コクー、
ルイス・エンリケそしてオランダのスーパーカー、オーフェルマウス、ボランチに
グアルディオーラ。最後尾にはF・デブール、レイジハーが控える豪華布陣。
オランダ+スペインの連合軍にブラジルの用心棒とフランスのおまけが
ついたという様相だ。
試合はほぼ互角。両チームともサイドのスペースを効率よく使い、オーソドックスながら
エキサイティングなゲームとなった。特にリバウドは「俺様病」もなりを潜め、よいアクセント
となっていた。ただし、ゴール前の場面はあまり多くなく、シュートも数えるほど。得点も
コーナーからのボールに、バランスを崩したクライフェルトの手があたってしまい、それで
与えられたPKのみ。それをきっちり決めたリバプールが、久々のタイトルに向けて
決勝に進出した。
それにしても、今シーズンのイタリアのセリエA勢の凋落ぶりは目を覆うばかりだ。
チャンピオンズリーグに至っては8強に1チームも残らなかった。90年代前半、サッカー界を
リードしたのは、徹底した勝利史上主義に基づく守備重視の戦術と、豊富な資金による
外国人選手の囲い込みであることは否定できない。しかし近年、スポーツがますます
ビジネスとしての側面を強めるようになると、「面白いゲーム」を見せるスペインや
イングランドのチームにカネが流れ、その結果資金力をつけ彼らが選手獲得力を
付けたのではないだろうか。結局、自らが活性化させた選手の国際間の移動を
契機とし、未だ固執する守備サッカーが原因で、セリエAはNo.1リーグの座を
明渡す結果となった。
ちなみに、今となってはイタリア人選手が海外でプレーするのは珍しくないが、
セリエA全盛期にイタリア人として海外チームに所属した稀有な例が、清水エスパルスに
移籍したマッサーロである。
関係ないけど、最近ホテルのモーニングコールがならなくなった。以前はなぜか
一日に三回くらい鳴っていたのに。時差ぼけの影響で勝手に目がさめるから
問題はないケド。 |