【3】 17〜23/APR/2001
車探し/Warwick

17/APR/2001 -Tue- イースター明

 まだまだ休みを取っている人が多く、オフィスは閑散としている。

 先週見に行った物件はまだ契約しておらず、実際の手続きはイースター開けに
なるといわれたので、昼休みに抜けてエステートエージェンシーに行ってきた。
一応サインをしてきて、手付け金の150ポンドを払ってきたが、入居までに家賃を
引き落とす銀行口座を用意する必要であるとのこと。しかし住所もないのに銀行口座を
開いてくれるのか?
 その不安は見事にあたり、どこの銀行にいっても住所を証明するものが
なければ口座は開設できないとのこと。途方にくれて、最悪の場合、
前任者の名義の口座が残っていたらそれを当面貸してもらおう、などと
考えながらもう一度エステートエージェンシーに行くと、
「じゃあ支払いは現金でもいいわよ!」とあっさり言われた。「must」のニュアンスが
わからなくなった、イースター開けの火曜日だった。

18/APR/2001 -Wed- 未だ寒し

  日本からは春爛漫の便り(e-mailだけど)をもらったが、こちらは四月も
半ばだというのに異様に寒い。朝、車の窓についている水膜は凍っているし、
夕方、サッカーをしているときにちらほら雪が舞っていた。

 今日のサッカーはミニゲーム。英国初得点を記録するなど、なかなか調子がよかった。
ボールをうまくさばいているとチームメートから自然に頼られるようになり、
またボールが集まり出す。このままボロが出ませんように。

19/APR/2001 -Thu- UEFA/CL大詰め

 プロサッカーのシーズンは大体9月-翌5月。したがって今の季節は
各リーグ大詰めである。そして昨日、今日とビッグゲームが続いた。

 多くの国がひしめく欧州大陸では、各国内のリーグの他に、国際間のリーグがある。
欧州3大カップといえば、チャンピオンズリーグ、UEFAカップ、カップ・ウィナーズ・カップ
である。
  一昔前までは、各国リーグ(日本で言うJリーグ)の優勝チームがチャンピオンズカップ、
各国カップ戦(日本で言う天皇杯)の優勝チームがカップ・ウィナーズ・カップ、
そのどちらにも出場できないが、上位の成績を残したチームがUEFAカップの出場する、
という構図だった。
 しかし各国リーグ自体レベル差があり、優勝チームの集うチャンピオンズカップでも
大味な試合がある一方、各国一チームしか出場できなかったため、強豪リーグの
2,3番手がUEFAカップにまわらなければならなかったことから、3,4年前から
チャンピオンズカップをチャンピオンズリーグと改め、強豪リーグの上位数チームが
出場できるが、弱小リーグの優勝チームは予選を勝ち抜かなければ出場でき
なくなった。これによりチャンピオンズリーグのレベルは確かにあがったが、
「弱小リーグ」に所属するチームにはやや不公平な体制となっている。

 さて、昨日18日はチャンピオンズリーグ準々決勝、イングランド・プレミアリーグの覇者、
そしてここ数年クラブチームの頂点に君臨しているマンチェスター・ユナイテッド対、
ドイツ・ブンデスリーガの雄、バイエルン・ミュンヘンの英独対決。この勝者がトルコの
ガラタサライを退けたスペインのレアルマドリードと準決勝を争うことになる。トーナメントの
反対側の組み合わせを考えると、この三者の中から優勝チームが出る確率が
高そうである。
 そして今日19日はUEFAカップ準決勝、プレミアリーグの古豪、リバプール対、
スペインではレアルマドリードと常に双璧をなすライバル、バルセロナとの、
こちらも興味深い組み合わせである。BBSではこの2試合はずいぶん前から
宣伝していた。

 まずM.U対B.M.。チャンピオンズリーグ、UEFAともに決勝は一発勝負だが、
それまではホーム・アンド・アウエーの2試合が行われる。M.U.はホームでの第一戦を
落としており、なんとしてもこの試合は勝たねばならない。
 しかし唸りを上げるほどの大声援をバックにB.M.が押し気味。それもそのはず、
2年前のチャンピオンズリーグの決勝、同じ組み合わせの対決で、
90分経過したところでB.M.が1点リード。ロスタイムのみを残し、
勝利を確信し、大黒柱のマテウスを下げた直後、2発のコーナーから立て続けに
2点を失い、奇跡の大逆転を喫した苦い経験がある。この日の彼らはその怨念を
背負っているのだ。その後押しを受け、前半早々にいきなり2点を先制し、トータルの
点差を3とする。
 一方マンチェスターはエースのベッカムを欠き、全く精細がない。ギグスのラッキーな
ゴールで1点を返すが、クロスに精度がなく、コール、ヨークの自慢の2トップは全く不発。
ギグスも、得点こそ決めたものの内側でプレーすることが多く、最後までミラクルドリブルは
見られなかった。2年前の再現を、と、シェリンガム、ソルスケアを立て続けに投入するが、
時計の針を進めただけであった。
 B.M.はエッフェンベルグを中心に、ドイツらしいスペースを大きく使ったサッカーを
展開。全く危なげない勝利だったといわねばならない。エッフェンベルグは往年のキレは
ないものの、やや後ろ目でボールをさばくことに専念し、逆に円熟味を増した見事な
ゲームコントロールをみせた。このゲームのMVPは間違いなく彼であろう。

 UEFAカップはチャンピオンズカップに比べ、扱いが軽くなるのは当然だが、ファンに
とってはそんなことは関係なし。ものすごい盛りあがりだった。イングランドの若き
ストライカー、オウエンを要するリバプールに対し、圧倒的な資金力で選手を
かき集めるバルサ。前評判は後者のほうが高かったが、リバプールはアウエーの
第一戦を0-0のドローで切り抜けており、今回はホームのファンの心強い声援を
味方につけて戦うことが出来る。
 バルサはクライフェルト、リバウドの恐怖の2トップ。中盤にはプチ、コクー、
ルイス・エンリケそしてオランダのスーパーカー、オーフェルマウス、ボランチに
グアルディオーラ。最後尾にはF・デブール、レイジハーが控える豪華布陣。
オランダ+スペインの連合軍にブラジルの用心棒とフランスのおまけが
ついたという様相だ。
 試合はほぼ互角。両チームともサイドのスペースを効率よく使い、オーソドックスながら
エキサイティングなゲームとなった。特にリバウドは「俺様病」もなりを潜め、よいアクセント
となっていた。ただし、ゴール前の場面はあまり多くなく、シュートも数えるほど。得点も
コーナーからのボールに、バランスを崩したクライフェルトの手があたってしまい、それで
与えられたPKのみ。それをきっちり決めたリバプールが、久々のタイトルに向けて
決勝に進出した。

 それにしても、今シーズンのイタリアのセリエA勢の凋落ぶりは目を覆うばかりだ。
チャンピオンズリーグに至っては8強に1チームも残らなかった。90年代前半、サッカー界を
リードしたのは、徹底した勝利史上主義に基づく守備重視の戦術と、豊富な資金による
外国人選手の囲い込みであることは否定できない。しかし近年、スポーツがますます
ビジネスとしての側面を強めるようになると、「面白いゲーム」を見せるスペインや
イングランドのチームにカネが流れ、その結果資金力をつけ彼らが選手獲得力を
付けたのではないだろうか。結局、自らが活性化させた選手の国際間の移動を
契機とし、未だ固執する守備サッカーが原因で、セリエAはNo.1リーグの座を
明渡す結果となった。
 ちなみに、今となってはイタリア人選手が海外でプレーするのは珍しくないが、
セリエA全盛期にイタリア人として海外チームに所属した稀有な例が、清水エスパルスに
移籍したマッサーロである。

  関係ないけど、最近ホテルのモーニングコールがならなくなった。以前はなぜか
一日に三回くらい鳴っていたのに。時差ぼけの影響で勝手に目がさめるから
問題はないケド。

21/APR/2001 -Sat- 車探し/Warwick 

イギリスに来て最初の一月分ホテルを予約してもらっていたのだが、先に泊まっていた
HenleyHotelは部屋の都合で今日チェックアウトせねばならない。ホテルの移動とは
いえ、2週間も生活していると結構荷物を展開していて、荷造りも大変だった。
車がなかったら大事であった。

 とはいえ10:00にチェックアウト。その足でそのまま、バーミンガムシティセンター
付近にある中古車屋に行った。新しい家からはバスで通うと一時間くらいかかると
思われ、レンタカーを返すまでに車を購入したかったのだ。一番安いのは個人売買だが、
ARUPの中には今売りたがっている人はおらず、かといって広告を出す勇気はなかった。
滞在期間は一年の期限付きなので、そんなに高い車は必要ない。出来れば2,30万円
くらいに押さえたい。訪れたのは中古車雑誌に載っている中でも低価格のものを中心に
取り扱っているところ。下は5,600ポンド(10,12万)、高くてもせいぜい
2500ポンド程度である。希望としてはヨーロッパ車のハッチバック、オーディオ、空調付き。
が、非常に小さい店で、ざっと見渡してせいぜい20台くらいしかない。
その中で1000ポンドを切るものは「PART EXCANGE」とある。部品を交換すればOK、
すなわち、一部不具合あり、ということだ。さすがにそれはちょっとこまるので、
他の車を見る。目に付いたのは1395ポンドのVW Poloと、1495ポンドの
VAUXHALL cavalier。VAUXHALLとはGMのヨーロッパのブランドで、キャバリエは
主力セダン。カローラやサニーのような位置付けだ。日本ではトヨタと共同で販売、
全く売れなかった。ヨーロッパ車、ハッチバックとなると前者なのだが、外観を比べると
圧倒的に後者のほうが綺麗だ。両方とも1992年の車だが、9年も経つとそれまでの
オーナーによって全然変わってくるのだろう。なんとなくアメリカ車よりドイツ車の
方が安心できそうなのだが、どこの会社でも主力の大衆車というのは最も力を入れて
開発しているはずなので、まあ問題ないだろう。エンジンの音もキャバリエのほうが
スムーズに聞こえた。それどころか、VWの方は一発でエンジンがかからなかった。
これでは寒い冬が思いやられる。
 他を周るのも面倒になったので、デポジットを払ってこのキャバリエに決めた。
レンタカーを返却したあと、残りの金額払って自分の物になる。ちなみに1495ポンド
(正確に計算すると27万円くらい)はM.O.T.(車検)一年とroad tax(税金)
半年分こみだそうだ。

 午後からはどこへともなくドライブに出かけた。適当に南のほうに向かうと、Warwickという
文字が見えた。Warwick城という、中世の城がある。そう言えば同僚のフランス人、
グレイクが、盛んに勧めていた。時計は三時を回っていたが、このまま帰るのも何なので
Warwickへ車を向けた。
 Warwick城はストラトフォード・アポン・エイボンから2,30分のところで、基礎の部分は
1000年ほど前に作られたらしい。それから各年代で継ぎ足しを行ってきた。城と
いってもあまり戦争の話は出てこない。主に中世の貴族の優雅な生活が強調されている。
城の内部を見ることが出来るのだが、当時の人々の生活が蝋人形で再現されており、
これが非常によく出来ていて、最初は本当に人がいるのかと思った。後で地球の歩き方を
読むと、有名なマダム・ダッソーの作らしい。 ただ、確かにいいところなのだが、
非常に混んでいてちょっと気疲れした。城の内部ではみんな一列に並び、同じコースを
とまらずにぞろぞろと進んでいかねばならない。そう言えば大昔、上野動物園にパンダを
見に行ったときもこんな感じだったな、と思ってしまった。

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Warwick城の外観。エイボン川に隣接する。

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城の上からの眺め。このエイボン川は先日訪れた、
ストラトフォード・アポン・エイボンに続く。

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「ピーコックガーデン」とは名前だけかと思ったら、
ほんとに孔雀が放し飼いされている。数十羽が
うじゃうじゃ、そこら中を歩いているのだ。ちょうど
繁殖期らしく、求愛するオスの羽を広げた姿が
そこかしこで見られる。人に慣れているので近寄っても
全く逃げない。その気になれば焼き鳥にすることも
可能だ。

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ちょっと観光地ずれしていて、土産物屋や売り子は
このように中世の風俗を再現している。