【5】 30/APR〜7/MAY/2001
対決

30/APR/2001 -Mon- 残業

 ちょっとたてこんだ事情があって、8:00ごろまで残って仕事をしていた。
はっと気づくと他に誰もいなくなっていた。こちらの人は通常5:00で、ちょっと
残業といってもせいぜい6:00くらいまでしかおらず、その後の個人の時間を
尊重する。確かに楽しんでこその人生で、その手段を得るための仕事である。
仕事に追われて自分の時間を削っていては本末転倒というもの。

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夕焼けに映えるARUPオフィス。時刻は8:30ごろ

1/MAY/2001 -Tue- メーデー

 今日はメーデーである。日本でメーデーといっても休日ではないし、イマイチ
ピンとこないが、こちらでは大きなイベントらしい。イギリスは景気はいいが、
失業率が高止まりし、貧富の差が特に広がってきており、低所得者層や
失業者の不満が鬱積している。その影響もあってロンドンではかなり荒れた
ようだ。イギリスでは祭日は週末につけたされるので、来週月曜日がお休み。

2/MAY/2001 -Wed- 家契約

 今日、ついに待望のフラットに入ることが出来た。書類の不備で入れる時期が
ずれたり、外国人ということでデポジット(保証金)を2倍払わなければならない
ということが後からわかるなど、いろいろ苦労したが、ようやく契約できた。
契約書は結構厚く、実はあまり良くわからなかったが、大体目を通してサインする。
まあ、日本でも賃貸契約書などろくに読まないし、家主との間にエステート
エージェンシーが入っているので大丈夫だろう。ただし、まだベッドのシーツ等
用意しなくてはいけないので、実際に入居するのは今週の土曜から。
 住居が決まったことで銀行口座はあっさり開くことが出来た。これであとは車が
そろえばインフラが整ったことになる。ようやく落ち着いてきた。

 夕方は例によってサッカーをして、ホテルには直接帰らずフラットに行く。周囲の
環境が良く、夕暮れの景色はなかなか。

 夜はチャンピオンズリーグの準決勝、イングランドのリーズ対スペインの
バレンシア。ホームということもあって、バレンシアが圧倒的にボールを支配するが、
ゴール前の手数が多すぎてフィニッシュまでなかなか行かない。リーズは
カウンター中心に効率良く攻め、決定期の数は同じくらいか。
ただ、下がスリッピ−でミスが多く、今一つしまりにかけた試合で、スコアレスドローに
終わった。

3/MAY/2001 -Thu- 洗濯機

 今日も仕事の後、フラットに行く。新しい部屋を見るのが楽しい、というのももちろん
あるが、備え付けの洗濯機を使いたかったためだ。今まではシャツ以外は手洗い
していたが、今後はこの洗濯機を使えば良い。

 イギリスの洗濯機は日本と違い、洗濯漕が横を向いており、中が見えるように
なっている。洗濯機の扱いなど簡単だと思っていたが、やはり勝手が違い、まず
何をして良いかわからない。とりあえずマニュアルを見る。全自動洗濯機とのことで、
洗濯内容にダイヤルを合わせ、あとはボタンひとつで良いらしい。洗濯漕が横を
向いているので乾燥機としても使えるようだ。
 確かに非常に簡単。洗剤は日本のように上からザバっと入れるのではなく(そもそも
上にふたがないのだから)、小さな引出しがあり、そこに入れておくと、水が入る
ときにいっしょに流し込まれる。なかなか合理的だ。おもむろにスイッチオン。
 あらかじめ買っておいたテイクアウトのチャイニーズを食べながら、眺めている。
窓がついているので中の様子が良くわかる。日本の洗濯機のように水の中でジャブ
ジャブ洗うのではなく、水は全体の1/5くらいしか充満されず、洗濯物は水から出たり
入ったりして洗われる。こんなのでほんとにきれいになるのかな。
 それにしても時間がかかる。晩飯を食べ終わった後もずーっと見ていたが、そろそろ
一時間くらいたつのに、まだくるくるくるくる周っている。このペースで最後まで行くのか?
さすがに飽きたので、リビングに行ってソファに横になった。リビングといってもテレビも
ないし読む本も持ってきてないし、何もすることがない。
 と、洗濯機のある台所から、今までとは全く違う、周波数の高い音が聞こえてきた。
はっ!脱水だ!すかさず飛び起きて見に行く。洗濯機は今までとは異なる様相を
呈している。ジャブジャブだったのがキュルキュルに変わっているのだ。しかしこの
脱水も迫力不足。キュルキュル…と左回りに回転し、だんだんノってきたところで
シュルシュルと減速し、右回りに回って洗濯物をほぐし、また左回りに…。どうもこの
洗濯機は、図体はでかいのに見掛け倒しだ。
 彼を見限ろうとしたそのとき、彼がキれた。何回目かのゆるゆる脱水のあと、だんだん
速度を上げ、そのまま超高速回転に入った!これが彼の実力か!?ものすごい振動が
台所中に響き渡る。これはかなり近所迷惑だ。少しでも振動を和らげようと洗濯機を
押さえ込むが、怒り狂った彼には何の効果もない。
 やがて全実力を出し切った彼はだんだん速度を落とし、一番とり終えた相撲取りの
ように悠々と土俵から降りていった。そして洗濯層を開けると、白かったTシャツが、
うっすら青色に染まっていた。

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イギリスの洗濯機は横向き。乾燥機
の機能もある。

 帰り。結構夜遅くなり、ホテルに着いたのは真っ暗になってからだ。良く見えなかった
ため、ホテルの生垣にがりがりと車を擦ってしまった。やばい、と思ってみてみたが、
ボディーには全然傷が付いていなかった。ほっと一安心。

4/MAY/2001 -Fri- NOと言われ慣れない日本人

 朝起きたらタイヤがパンクしていた。そうか。昨日すったのはボディーではなくタイヤ
だったのか。しかし弱ったな。車がなかったら仕事に行けないぞ。
 とりあえずホテルのにいちゃんに電話を借り、レンタカーの契約しているロードサービス
に連絡する。しかし、やはり来るまで45分くらいかかるという。すると、にいちゃんこと
ジェイミーが車で会社まで送ってあげよう、といってくれた。
 このホテル(というかB&B)は家族経営のようで、大体朝はこのジェイミーが料理して
くれ、いつもちょっと会話するので仲良くなっていた。今回も非常に親切にしてくれ、
車は僕が見てるから、といってくれたので、甘えることにした。
 ジェイミーの車は三菱パジェロだが、こちらではSHOGUNという名前だ。彼に会社の
前まで送ってもらい、とりあえずは遅刻せずにすんだ。
 しかし、ジェイミーのB&B、BOXTREE FARMは、お世辞にも繁盛しているとは
言えない。今日でほぼ2週間滞在したことになるが、家族連れが1組、あとは個人が
三名程度。前に止まったHENLEYホテルより部屋はずっと広く、また内装もきれいで
いいところなのに、ちょっと気の毒である。

 アンディやリチャードに今朝の不幸を一通りまくし立て、仕事にも一段落ついてから、
一件電話をかけなくてはならない。前述の通り、購入する車のランクを少し上げるので、
前に予約したのをキャンセルするのだ。もっと早く連絡すべきだったが、伸ばし伸ばし
になってしまった。
 「2週間前、VAUXHALLを検討していたものだが、キャンセルしたいんですが」
 「NO!」
日本人は「NO」という言葉に弱い、というかビビってしまう。以前、銀行口座の開設を
断られたときも「NO」といわれたのだが、そのときもびくっとしてしまった。日本では
NOははっきり言わず「ちょっと難しいですね」とか、「それはちょっと…」というように
言葉を濁す。日本人は「NO」と言えず、更に言われることに慣れていない。
しかしキャンセルしたい、といっているのにNOもくそもない。もっとも「M.O.T.(車検)と
税金を払ってしまったし、整備もしている」という向こうの言い分もわかる。
「ではキャンセル料としていくら払えば良いのだ?」「車体価格の半分、700ポンドだ」
常識的に考えて、700ポンド(14万円弱)のキャンセル料なんて明らかにおかしい。
こちらは何もサインしていないし、法的には先に払った100ポンドのデポジットを
取られるだけで良いはずだ。しかし、それを言いくるめるだけの英語力も度胸もない。
「わかった。明日、そちらのオフィスに払いに行く」とだけ言って電話を切った。

5/MAY/2001 -Sat- 対決

 朝から憂鬱である。例の中古自動車屋に行かねばならない。中古屋の親父は歯の
抜けたポパイのような男で、人相からして過去、2,3人は殺っているに違いない。
何とか700ポンドはおかしい、と言いたてて、妥当なキャンセル料にしたいところ。ただ、
向こう怒っているとはいえ、とりあえずは紳士的に対応している。下手な事をして
寝た子を起こす羽目になっても困るし…。

 結局キャンセル料をまけさせることは、話を切り出すことも出来なかった。700ポンド
とられたかわりに、話し合いは10分で終わった。相手は終始紳士であった。こういうのも
ぼったくりって言うのだろうか。

 今日は天気が良く、車を走らせていたらだんだん気分も落ち着いてきた。まあ、金で
かたがついたのならいいか。それが日本人のやり方だ。

 9:00過ぎにはもう中古車屋を出て、バーミンガムシティセンターに向かっていた。
今日からいよいよ新居に入るので、まず当面必要なものをそろえなければならない。
まずはシーツ、枕、布団。ベッドはあるのだがマットレスまでで、その他は自分で
そろえなければならない。また、来週水曜日、チャンピオンズリーグ準決勝、レアル対
バイエルンがあるので、それまでにテレビを買っておきたい。レンタカーは明日までで、
車があるうちに買っておいた方がいいだろう。
 まずはシーツ類。といってもどこで買えば良いのだろう。海外で生活するとき、こういう
常識がないのが一番苦労する。日本であれば、シーツを買うならイズミヤやジャスコなど
大きなスーパーか、いいものがほしければ高島屋などのデパートへ行けばよい。が、
イギリスでそれにあたるのはなんていうところなのだろう。
 と、言いつつも、あっさり見つかった。Mark&Spenserというのはこちらの大きなデパート
のようだ。まずはシーツ、枕、掛け布団と、タオル二つ、足ふきマットを購入。122ポンドは
結構高めでは?ひとまずそれを車に積み込み、そのあとテレビを物色する。家電製品は
結構高い。というより、日本国内が安いのである。秋葉原に東南アジアから買い付けに
来るくらいなのだから。テレビは大体200ポンドくらいから、大画面で3、400ポンドくらい。
デジタル放送や横長のワイドテレビはその倍くらいする。ここでも日本製品は、他のもの
より1.5倍くらい高い。が、陳列の一番前に置いてあるところを見ると、やはり良く売れるの
だろう。
 異常に安い店を見つけた。23インチで80ポンド。よその1/4程度。聞いてみると、
本来は家電製品のレンタルの店なのだが、年に何度か、古くなったものを売り出す
そうだ。当然Mは新品が必要なわけではないから中古で十分。ラッキーな買い物が
出来た。配達もしてくれるということだが、別に料金がかかるのと、水曜日には間に
合わないので持って帰ることにする。しかしかなり重い。「カバーはいるかい?」というので
付けてもらうことにしたが、なんと黒いごみ袋を引き裂いてテープでつなぎ合わせてくれた。
余計運びにくくなり、車のところまではとても運べそうにないので、結局TAXIでパーキング
まで行ってもらった。

 TAXIに乗っている途中、何やら毛色の違う町並みに出くわした。そうか、ここが
フランソワの行っていた中華街か。日本料理屋もあるし、スーパーでは日本食も
おいてあるとのこと。テレビを車に詰め込んで、この中華街に引き返してきた。
ホテルのチェックアウトの時間をあまり遅らせると迷惑を掛けるのでじっくり見て周ることは
出来ず、スーパーを一回りしただけだったが、確かに日本のものも多い。漢字+ひらがな
の表記をみてこんなにほっとするなんて思いもよらなかった。小さなスーパーにも
かかわらず、何時間でもいられるような気がしたが、とりあえず、米、キッコーマンの
しょうゆ、海苔、茶碗に箸、日清カップヌードルを買ってシティーを後にした。

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どこの国でも、大きな都市には中華街がある。
華僑パワーは世界最強だ。
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唯一あった日本米だが、こんな銘柄
見たことないぞ。称賛日本米というのも
良くわからん。「寿司に最高」とあるが、
確かにこちらで一般的なアメリカ米では
ぱさぱさして寿司飯には向かないだろう。
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意味不明
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グリコ製品も
 

 ホテルに戻り、まずは荷物を全部車に乗せる。そのあと、JAIMYがコーヒーショップで
昼飯を食っていけ、という。BOXTREE FARMではB&Bだけではなく、コーヒーショップや
工芸品、牧場で取れた牛乳や卵を売っているのだ。そこで、裏に回るとものすごい人!
どうやら結構有名な場所らしく、なかなか繁盛しているようだ。B&Bの方はそれほど
人が入らなくても良いらしい。心配することもなかった。
 JAIMYがコーヒーショップに案内してくれ、注文をとってくれた。彼は、いわば若旦那で
ある。結構忙しく、最後、握手で簡単に別れたが、彼にはお世話になりっぱなしで、感謝の
言葉もない。支払いの明細を見ると、前のHenleyHotelよりも2割ほど安かった。

 さて、いよいよ、意気揚揚と新しいフラットに入る。時間は14:00をちょっと回った
ところ。何度体験しても、新しい家というのはいい!

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家の前の通り。イギリスでは意外に桜が多い。
ただしソメイヨシノではなく、ピンクが濃く、花が
どっしりした八重桜が中心。


 買ってきたものを広げる。まずはすぐに寝られるようにシーツを張る。それから食材を
台所にしまい、一息ついたところでテレビをつなげよう。
 ところが。短いのである。壁から出ているVHSアンテナの同軸ケーブルが、異様に
短い。人をなめてるとしか思えないくらい短い。ほかの部屋を探して回ったがケーブルは
この居間にしかないようだ。23インチの馬鹿でかい図体なのでお尻が大きく、どう
考えても届かない。これは延長ケーブルを買ってくるしかない。が、それこそ、VHSの延長
ケーブルなんてどこで売っているのだろう。大体そんなこと、説明できるだろうか。
水曜日の試合が見られるかどうか、怪しくなってきた。

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明らかに同軸ケーブルが短い。短いにも
ほどがある。TV側の端子には、大きなお尻が
邪魔で届かない。

 

6/MAY/2001 -Sun- チャリンコ

 今日の予定は二つの重要な買い物。まずは自転車。今日で車がなくなるので、
とりあえず家の周辺を移動するにも自転車が必要だ。それから昨日問題が発覚した
VHSの延長ケーブル。これが一番問題だ。どこに買いに行けばいいのだろう。
しかも今日は3連休の中日。閉まっている店も多いに違いない。

 まずは最も近いSWANSHOPPINGセンターというショッピングモールへ行く。ただしここは
食料品など日用雑貨のほうが多い。車で10分くらいだが、まだほとんどの店が
開いていないようだ。ところが、行く途中、HAWKS BIKEという、大きな自転車店があることが
発覚。時間が早いのでまだあいていないようだが、とりあえずチェックし、自転車はこれで解決
だろう。

 次に近くの町でもっとも大きなSolihullに行く。ここもまだ閉まっている店が多い。また、
やはりバンクホリデーウィークエンドなので営業していない店も多い。最初にまず大き目の
電気店に入ったが、そこにはケーブルはなし(多分、話は通じただろう)。次に入った店は
構えは小さいのだが、一応テレビやオーディオなどを展示していた。しかし、家電だけではなく、
洋服や庭用品も置いてある。恐らく品物の幅は広いのだろうが、ケーブルなどの細かい
物は置いていないだろう。
 他のお客さんを見ていると、もちろん展示されているテレビなどを見ている人もいるのだが、
多くの人がカウンターのようなところでカタログをめくっている。そこで、同じように見てみる。
どうやらここはカタログショッピング、すなわち通販ショッピングの出店のようなところらしい。
そして、店員がひっきりなしにバックオフィスから出入りしているところを見ると、品物は
展示してあるものよりもずっと多そうだ。周りの人と同じようにカタログをめくっていくと…。
あった!同軸ケーブル10m!10mもいらんがそれより短いのはないのでそれしかない。
そばにあるおもちゃのレジのような機械にカタログ番号を打ち込む。「店内に在庫あり」の
表示。そこででてきた紙切れをカウンターの店員に渡し、まず金を支払う。そして、
モニターに自分の番号が表示され、呼ばれたらとりに行く。なかなか良く出来たシステムだ。
今後も使えそうなのでカタログをもらって帰った。内容を見ると、家電製品から自動車用具、
衣服、ガーデニング用品、宝石など、ほとんどなんでもそろってしまう。

 次にいったん車を家に置き、歩いて先ほどの自転車屋に向かう。
 そもそもイギリス人は(少なくともこの周辺の人たちは)自転車には乗らない。自転車に
乗っているのは子供たちか、趣味で乗っている人たちで、生活の手段として使っている
人は皆無だ。みんなが車を使うことを余儀なくされているので、とりたてて自転車が
必須ということもないのだろう。
 したがって、ママチャリというのはない。Kids用を除くと、マウンテンバイクかロードレーサー
しかない。このHAWKS BIKEも本格チャリンコ屋で、安いのはなかったが、99ポンド(2万円弱)の
物で手を打った。
 帰りは乗っていったが、どうもイマイチ。前二段、後五段の計十段だが、前のギアを重くすると
チェーンがしっかり通らず、カリカリする。また、新品だというのに、強くブレーキを握るとキーっと
音がする。SHIMANOって書いてあるけどほんとに日本製か?

 いずれにせよ、両方とも幸運が手伝って購入することが出来た。テレビ映りは非常に良い。
満足な一日であった。

 夕方、お隣(というか階下)のマシューさん、おむかいのロバートさん(苗字わからず)に
ご挨拶。右も左もわからないので、ご近所さんは大切だ。
 このフラットは家族連れにはちょっと小さいので、リタイヤしたご老人が多い。お二人も
そんな感じで、やさしく接してくれた。

7/MAY/2001 -Mon- ロンドン

今日はバンクホリデーでお休み。イギリスには祭日は計6日しかなく、そのうち4日がイースターと
クリスマスで2日ずつ、そしてメーデーの週と、8月にもう一日だそうだ。

 今日はロンドンに行く予定。イギリスに来て1月たったがようやくロンドンに足を踏み入れる。
バスでSolihull駅へ行き、そこから約2時間くらい、London Merylebone駅につく。鉄道の発達の
前に完成したロンドンには、東京駅のようなターミナルはなく、このMeryleboneやVictoria、KingsCross
など、複数の駅に各都市から汽車が分散して到着する。このMerlebone駅はプラットホームが
4つしかない小さ目の駅だ。

 UnderGroundでピカデリ−サーカスへ向かう。ここはロンドンの中心。ショッピング街だ。
大英博物館やロンドン塔などの観光は後日時間をかけてゆっくりするとして、とりあえず今日は
日本製品の購入、特に書籍を買おうと思っている。
 まずは「地球の歩き方」にある「ありがとう」という店に。変な名前だが、品揃えは豊富。先日の
バーミンガムの中華スーパーとは違い、正真正銘の日本製品が並ぶ。お米もコシヒカリ、
ササニシキ、ひとめぼれなど充実している。さすがにお米を買って帰るのはしんどいが、
永谷園のお茶漬けと、バーミンガムでは見つけられなかった、味の素を購入。これをいれれば
大体それなりの味がするのだ。
 お腹がすいたので日本食店を探す。この、BrewerSt.には日本関係の店が多い。「地球の
歩き方」にある店はほとんど閉まっていたが、一軒、開いている店を発見。従業員はみな
東洋人だったが、日本人は大将と奥さんくらいであった。てんぷらうどんを食べてみたが…
久々にこんなにまずいうどんを食った。味の素を溶かしたようなスープに、小学校の時に給食で出た、
「もりソフト麺」のようなぐねぐねの麺。もっとも、外人も来るこの店でのメインメニューはやはり
寿司だろうから、麺類には余り力を入れてないのかもしれない。材料の入手も困難だろうし。
ちょっとくらい奮発して寿司にすれば良かった。

 そのあと、ピカデリ−サーカスにある、「ジャパンセンター」に行く。ここは同じく日本製品を
取り扱っているのだが、何しろ書籍が多い。雑誌も、一週間遅れくらいで入手できる。
来るときに文庫本を10冊くらい持ってきたのだがあっという間に読んでしまい、現在2周目である。
自分がこんなに読書家だとは思いも選らなかったが、やはり新しい本がほしい。しかし
とにかく高い。大体2.5〜3倍くらいの値段。それでもそうそう何度もロンドンに来るわけにも
行かないので、文庫本4冊、夏休みに備え「ヨーロッパ鉄道旅行マニュアル」、それに雑誌2冊
計49ポンドは約一万円弱。

 しばらく町をぶらついてみたが、やっぱりロンドンはほんとに都会だ。それを実感させるのが
人種の多さ。西洋人のほかには黒人、東洋人、アラブ系。インド系がかなり多いのは
ニューヨークと異なるところ。日本人もわんさかいて、時折日本語が耳に飛び込んでくると
ちょっとだけうれしくなる。

 ちょっと休憩した喫茶店のすぐそばに、ロックサーカスがあった。有名な蝋人形ブランド(?)、
マダムダッソーの別館といういうようなところで、ロックやポップ歌手が蝋人形で再現されている。
ほんとに良く出来ており、また、展示されているというよりは見物客と同化するように
おいてあるので、思わずほんとの人間かと、ドッキリしてしまう。
 たくさん写真を撮ったんだけど、そのうちのいくつかを以下に。ピンぼけが多いが、雰囲気など
から類推してみて。

wpe3.jpg (5018 バイト) この歌い方に注目

 

wpe4.jpg (7216 バイト) 60年代のビッグバンド。
本人の名前はわかりません。

wpe7.jpg (6643 バイト) この下品な格好を見れば
一目瞭然。

wpe6.jpg (7653 バイト) 後ろに書いてありますね。
イギリスの生んだポップ史上
No.1バンド。

wpe8.jpg (9936 バイト) 美しいハーモニーが
売り物。現在はそれぞれ
ソロ活動をしているはず。

wpe9.jpg (5478 バイト) ちょっと顔がわかりにくいですが、
この服装は?
現在は変な名前に改名しています。

wpeA.jpg (12511 バイト) イギリスを代表する世界的な
バンドのボーカリスト。帽子に注目。

wpeB.jpg (11519 バイト) 左利き!

wpeC.jpg (9635 バイト) かなり若いころ。いまでは
大御所でしょう。

wpeD.jpg (10469 バイト) ご存知レゲエの神様。なんとも
言えない表情です。

wpeE.jpg (8962 バイト) この髪型、サングラス、そして
キーボード。

wpeF.jpg (7380 バイト) 50年代のポップシーンの主役級。

wpe10.jpg (8297 バイト) こちらもイギリスの生んだ
スーパーバンドのボーカル。
ちょっと顔が見えにくいか。
この歌い方は?
7,8年前になくなったと思う。

wpe11.jpg (8000 バイト) 現役スーパーアイドル

wpe12.jpg (4340 バイト) この髪型とこの不精ひげ。
「グランジ」というジャンルを
確立させた(が、今はもうそんな
言葉聞かん)。

 

 

 観光を追え、家に着いたのが7:00過ぎ。なかなか充実したバンクホリデーだった、と締めくくり
たかったが、もうひとつ事件が起こった。
 せっかく日本食を買ってきたが、ちょっと料理するのがしんどかったので、良く利用する
テイクアウト・チャイニーズで晩飯を済ますことにしよう。玄関をでて、ガチャリと扉を閉める。
はっ!鍵を持ったか!? この家はちょっと古いホテルの部屋のような仕組みで、外側に取っ手がなく、
鍵を差し込んでドアを開ける。こういうのを、無理やりオートロックという人もいる。すなわち、
ドアを閉めると同時に鍵がかかった状態になる。そして、ポケットをまさぐったが、やはり
鍵はなかった。
 やばい!当然エステートエージェンシーはクローズしている。営業していたところで、電話番号
さえわからん。「地球の暮らし方」に、たしかこのような時のキーオープンサービスの電話番号が
書いてあったが、それとて部屋の中だ。途方に暮れていてもしょうがないので、お隣のマシューさんの
呼び鈴を鳴らした(昨日挨拶しておいて良かった。さすがにいきなり家には入れないんで助けてくれ、
というのも気が引ける)。だんなさんのエリックは、キーオープンサービスの番号はわからないが、
大家さんに電話してくれるという。とにかく寒いから中に上がりなさい、といってくれ、
奥さん(名前が思い出せない!)が電話をおき、「5分で来てくれるそうよ」といってくれたときは、
心の底から安堵と感謝で一杯だった。
 大家さんのジョンはほんとに5分で来てくれた。一時はひやっとしたが、階下のマシュー夫婦と
少しお話が出来たし、エステートエージェンシーを通していたため、一度もあったことのなかった
ジョンとも挨拶できたので、結果オーライ、なかなか充実したバンクホリデーだった。