【16】 16〜22/JUL/2001
マンチェスター

16/JUL/2001 -Mon- プロバイダ

 以前A氏にもらったジャーニーという、在英日本人向けの情報誌に
「イギリスではインターネットは無料が常識です」というようなコピーとともに
プロバイダの広告があった。家からつなぐことはあまり多くはないのだが、
どうせただだし、と思って登録してみた。接続はダウンロードした自動設定
ツールで行うのだが、なぜかうまくつながらない。「この番号は使われていません」
というアナウンスが、PCのスピーカーから聞こえてくる。よくよく見てみると、
設定のところに市外局番が入っていなかった。正しくいれてみると問題なく接続。
ただとはいえ、あまりにずさんでは?

 ところで、無料プロバイダは日本にもあったが、常時広告を表示させることによって
収入を得ていたようだが、今回登録したこのプロバイダは、広告も何にも出て
来ない。どうやって採算を取っているのだろう。

17/JUL/2001 -Tue- サマーステューデント

 今日、オフィスにまた1人新人が加わった。名前が思い出せないが、またドイツ人である。
といってもサマーステューデントという制度で来ている、日本でいうインターンのような
学生さんである。イギリスにはこのように学生を半分アルバイト、半分研修生として
企業で働かせる制度が充実している。先週で去っていったオックスフォード大のトムは、
大学に入る前に一年間ここで研修を行っていた。大学に入る前、あるいは在学中に
こういった実際の企業活動を体験しておくのは非常に有用だと思う。特にエンジニアは
在学中は理論に偏りがちであるが、何のために学ぶのか、という明確な目的が
見えていると勉強のモチベーションも高まるだろう。最近はやりの日本のインターン制度は
経験のため、というより、就職活動の一環、という側面が強いように思える。

18/JUL/2001 ‐Wed‐ ボール蹴り

 先週まではほんとに忙しくて、サッカーはひと月くらい行っていなかった。今週、
ようやく落ち着いてきたので参加できそう。
 ところが昨日の夜から嵐になり、今日も一日雨が降り続いている。イギリスは雨が
多いといってもすぐに天気が変わるし、本降りになることも少ないのだが、昨日、今日と
かなりまとまった雨になった。5:00近くになってもやまなかったが、せっかくの週一の
楽しみである。ローランドとともにSolihull公園に向かった。

 この天気にもかかわらず、10人ちょっと集まり、いつも通りミニゲーム。ひと月ぶり
だったので、「やあTAKA、今までどうしていたんだい!」と歓迎されるかと思ったが
そんなことはなく、全然普通であった。身体は思ったよりキレており、気持ち良くプレー
出来た。

20/JUL/2001 -Fri- パブ

 昼は久々にパブへ行った。ローランド、マイルス、フランソワ、新人のコリン、
それから火曜日に来たサマーステューデントと6名で。コリンは香港出身のPhD.で、
ひと月ほど前にARUPに来た。東洋系はATGではMと2人だけである。ぼちぼち
部屋探しなど生活面も落ち着いてきた、とのこと。今は3ベッドルームに1人で
住んでいるのでルームメイトを募集中だそうだ。夏の間だけ、韓国からの
サマーステューデントが来るそうだが、もう一部屋余っている。Solihull付近に部屋がほしい方、
ご一報ください。

 ところでローランドは、水、木、金と、今週3回もパブに行っている。先週まで忙しくて、3週間も
パブに行ってなかったから、とのこと。そういうもんか?

21/JUL/2001 -Sat- BONSAI

 Solihullにちょっとした買い物をしにいったら、何かのイベントか、縁日のように出店が一杯
出ていた。先日のStratfordでもそうだったが、夏の間はあちこちでこのように縁日のような
ものが開催される。そこで、BONSAIショップを見つけた。イギリス人はとにかく家を飾るのが
好きで、このような出店では絵や置物や植物などが売られているが、盆栽は初めてである。
ものめずらしさから結構人が集まっており、良く見えなかったが、小さな松やコケが見え、
ちょっと買いたくなった。が、すぐ枯らしてしまいそうなのでやめ。

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Solihullの縁日でBONSAI TREESの店を
発見。なかなかの賑わいであった。

 買い物の目的はベッドカバーなどのベッド用品なのだが、その他にスリッパを買おうと
思っていた。イギリスでは室内は土足が常識だが、Mは一応家の中は土足禁止と
している。ただ、裸足や靴下になるのはUKでは行儀が悪いので、お客さんが来たときには
スリッパを履いてもらうのが良いだろう。お客さんなんか来ないかもしれないけど。
ところが、どこにも売っていないのである。生活用品のWoolSmith、デパートのMarks&Spencer、
そして切り札のなんでも売っている通信販売、Argosにもない。A氏の家にはあったのだが、
一体どこで買ったのだろう。

 午後はまた映画を見に行った。ジュラシックパーク3。英語で映画を見るときは、このように
ストーリーはあってなきがものを選ぶのが基本。しかしジュラシックパーク3って全然話題に
ならなかったなあ。日本にいるとき、予告編で見たこともなかったような気がするな。
そんな前評判通り、内容もイマイチ。ジュラシックパークは1、2、3と進むにつれ、だんだん
レベルが下がっていくような気がする。本当にクオリティが低くなっているのか、あるいは、
1作目があまりに新鮮だったからかはわからないけど。このままロッキーのようになって
しまうんだろうか。ジュラシックパーク1、2(ロストワールド)に関しては映画のページ参照。
 もともとストーリーにはあまり期待していないけど、それにしても雑だ。最大の恐怖であり、
ライバルであるはずのヴェロキ・ラプトルの印象が弱いし、しかも彼らと心かわすことはないだろう。

22/JUL/2001 -Sun- マンチェスター

 北部イングランド第一の都市といえばマンチェスター。産業革命発祥の地としても名高く、
科学技術博物館をはじめ、見所も多い。ところが、ロンドン-バーミンガム、ロンドン-マンチェスター
のアクセスは良いのだが、バーミンガム-マンチェスターは乗り継ぎが悪く、しかも本数の少ない
日曜日は始発が11:55、Creweで30分の待ち合わせがあって14:00過ぎにマンチェスター着。
そして最終が18:14と、日帰りにはちょっときつい。もう少し時間があれば、この、19世紀の
大英帝国を牽引した工業都市を楽しめたかもしれない。

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マンチェスターは中心部に路面電車が走る。
古い町並みに良く映え、趣がある。ちょっと
函館を思い起こさせる。

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世界最大といわれる科学技術博物館、Science & Industrial Musium。
左は飛行機館入り口、右はイギリスで最初の実験用飛行機。

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科学技術博物館の最大の目玉はこの動力館。産業革命の産声が聞こえてくるころの
動力を中心に展示させている。左の巨大な蒸気機関は自動織機の動力。産業革命は
毛織物産業という大きな需要のもと発展した。右は世界初の旅客鉄道(リバプール-マンチェスター)で
活躍したライオン号。

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左はBeyerPeacock社の貨物用機関車。人造物というのは大きいというだけで感動に値する。全長87フィート
6インチ、総重量214トンと、コンバトラーV並の迫力である。また、マンチェスターはかつて自動車産業の
中心地でもあった。が、特にフォードなどのアメリカの巨大資本におされ、現在では生産は行われていない。
良く見ると自動車の脇に当時を懐かしむ亡霊が写っている。なんつって。

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左は発電のための巨大エンジン。こういうのも6気筒っていうんだろうか。右はカメラ館の最後、
「最新のカメラ」の展示。M愛用のIXYデジタル(バッテリ付)があったので思わず撮ってしまった。
商標登録の関係か、こちらでは「IXUS(イクサス)」という、自動車のような名前で売られている。

 産業革命発祥の地、という歴史も重要だが、この町については忘れていけないことがある。そう、
イングランドプレミアリーグ、そして世界を代表するスーパーサッカーチーム、マンチェスターユナイテッド
の本拠地なのである。

 イングランドチームはサッカーの母国という自負とともに、70年代から80年代はじめ、無敵を誇った。
特にボビーチャールトンの率いた時代は、飛行機事故で主力選手を失うという惨事にあいながらも
チャンピオンズカップ連覇という偉業を成し遂げた(何連覇かは忘れた)。
が、1985年、リバプール対ユベントスのチャンピオンズカップ決勝で悪名高いフーリガンが暴動を
起こし、100人弱が死傷した大惨事が発生。それ以来イングランドのチームは数年間、国際舞台から
締め出しを食らってしまう。余談だが、この試合を制してトヨタカップの出場権を得たユベントス、
そしてプラティニの東京でのパフォーマンスは今でも語り継がれている。
 さて、イングランドが国際舞台に登場できない間、一時期ドイツ勢が、その後イタリア勢、スペイン勢が
ヨーロッパを牛耳るようになる。国際試合に出場できないイングランドチームはその分収入が減り、
有力選手の流出を防ぐことが出来なかった。

 が、国際舞台に復帰するや否や、リバプールやアーセナルなど他の有望チームを尻目に
マンチェスターは完全復活、1999年のチャンピオンズリーグで、準々決勝インターミラノ、
準決勝ユベントス(ともにイタリア)、そして決勝ではドイツのバイエルンミュンヘンを、0-1の劣勢を
ロスタイムでひっくり返す、という荒業で退け、ビッグイヤー(チャンピオンズリーグのトロフィーの通称)を
大陸勢から奪い返したのである。

 と、自分の気持ちを高めながらマンチェスターの中心部からやや外れたオールドトラフォードへ
向かった。閑静な住宅街ということばが良く合う静かな町である。しかし、試合のある日は大騒ぎに
なるのだろう。

 ところが!スタジアムの見学は4:30で終了らしい。地球の歩き方には7:00までって書いて
あるのに。シーズンオフだから早く閉まるのだろうか。帰りの時間を考えて、科学技術博物館、
まだまだ見たかったのを切り上げてきたのに。目の前でシャッターを閉める係員を恨めしく思いながら、
仕方がないのでスタジアムの写真だけをとってきた。

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オールド・トラフォードスタジアム。静かな古い町には似つかわしくない、
瀟洒な近代的な建物である。

 

予定が狂ったので電車の時間まで1時間ほどある。マンチェスターの中心街をふらふらと歩いてみた。

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中華街はバーミンガムのものよりかなり大きい。中華スーパーマーケットの
品揃えも豊富。日本料理店もちらほらあった。
右は日本料理WANONEWAN(?)。お侍さんのヘアスタイルは
いつの時代を想定しているのだろう。

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町並をパシパシ撮っていたら、「僕たちも撮って-」。

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そして帰途に。マンチェスター・ピカディリ-駅は主に
南行きの汽車が発車する。

と、ここまで書いてもう寝ようかな、と思っていたら、TVから聞き覚えのある音楽が。
この時間(11:30)から「戦場のメリークリスマス」が始まるらしい。
おお、日本語しゃべってる。あ、たけしが出てきた。