九日目 −ワーズワースとベアトリクスポター−


  



湖水地方二日目。昨日酷使した体は思ったほど疲れていない。

今日は午後の汽車でエジンバラへ向かうので湖水地方での時間は午前中のみ。

多少メンバーが変わっただけで相変わらず日本人だけの朝食を取る。例のおしゃべりのおじさんは今朝もいた。もうリタイヤして、なんと5週間かけてイギリスを周るそうだ。結構年配に見えるがなかなか根性がある。奥さんは嫌がってついて来なかったので一人旅になってしまった。この後はエジンバラ、インバネスなどスコットランド方面へいかれるとのこと。

まずリコンファームをする。キャセイパシフィックはリコンファームの必要は無いとのことだが一応念を入れておこう。5/9成田行きの便はちゃんとブックされていますか?
「No. We have no passanger named Miyachi」…。
はあ?そんなはずは無いよ。ちゃんと確認してくれ!…、と、よく考えたら5/9ではなく5/8の便だった。成田につくのは9日だからすっかり9日の便と思いこんでしまった。

出発の前にチェックを済ます。ツインをシングルユースしたので二泊で70ポンドと割高になってしまったが「地球の歩き方」を見せれば10%割引してくれる。

今日は湖水地方の半日のみにバスツアーに参加する。たまたまリョーコさんとロビーでいっしょになって少し話したのだが、彼女は別のツアーのガイド兼通訳をするらしい。そっちのツアーにすればよかった。

ミニバスツアーの運転手はポールさん。メンバーはもう一人日本人の女の子と旅行者らしきおじさん、Mの3人とちょっとさびしい。ポールさんが運転しながらあちこち説明し、いくつかの重要なポイントで少し散策するといった感じ。ツアーは景色がきれいなところを中心に、湖水地方の生んだ二人の文化人、ペアトリクスポターとワーズワースのゆかりの地を周る。



湖水地方には大小無数の湖がある。TarnHawは小さ目の
部類に入るが、景観はすばらしい。

 

ワーズ・ワースの学んだ学校。彼の落書きなどがある。


 まずポールの生まれ育ったというアンブルサイドを通り、昨日自転車で通りすぎたHawksHillを過ぎる。この辺の坂道はめちゃめちゃしんどかったが自動車だとあっという間だ。静かな小さな湖、TarnHawは人がほとんどおらず散策によさそう。ConistonWaterの西岸から船に乗り、30分ほどクルーズする。湖から見渡す周りの山岳はなかなかよい景色だがとにかく寒い。日本の山岳の景色と印象が違うのは樹木に混じって芝生が多いからだと思う。ConistonWaterの東岸から少し丘陵を上り、湖を一望する。そして最後はワーズワースの過ごした小学校を訪れる。教室は昔の状態そのままになっており、ノート代わりの小さな黒板、ワーズワースの書いた落書きなどが目を引く。


 ホテルに戻って預けた荷物を受け取った後、Windermereの駅に戻り、エジンバラへ向かう。OxenHolmでの乗り継ぎが悪く、3時間ちょっとかかってエジンバラのひとつ隣の駅、Haymarketについた。地球の歩き方によると、B&B街へはエジンバラ駅よりこちらのほうが便がいいそうだ。昨日何件かトライして電話予約しようとしたものの、この時期は開業していなかったりフルブッキングだったりでまだ宿が決まっておらず、B&Bが固まっているところに行くのが効率がいいだろう。

B&B街はすぐわかった。ヨーロッパの古い町並みらしく道の両側に建つ建物はすべて同じつくりで、おのおのがB&Bを経営している。そのうち、「地球の歩き方」にも紹介されていたところにまず入った。昨日は電話に誰も出なかったが、ベルを押すといかにもスコットランド人といった風情の男が顔を出す。聞けば一泊28ポンド(約5600円)とまあ相場どおりなのでそこに決めた。

宿の主人はリチャード・マクドナルドといって、とって付けたような名前だが親切にいろいろ街のガイドをしてくれた。今日はもう余り時間が無いので美術館などは閉まっているが、少し街を歩いてみよう。

 

カールトンヒルからのエジンバラの町の眺め。心なしか、ロンドンより
落ち着いて見える。


 エジンバラはスコットランドの首都で位置付けとしては北の地方の入り口だ。街はそれほど広くなく、エジンバラ城を中心にひろがっている。宿は西のはずれにあるが、東の外れカールトンヒルまでは歩いて30分足らずだ。小高い丘のカールトンヒルはなんだか変なモニュメントがあるが、西に小さなエジンバラの町、南にホリルード公園にさく菜の花、そして北と東に北海への港が見える。エジンバラはロンドンと同じように古い街だがロンドンに比べ落ち着いた感じが漂う。永い闘争の、勝者イングランドと敗者スコットランドの歴史の違いのためだろうか。