朝はロンドンで買った携帯目覚ましで7:00に起床する。今日は9:00のTalgoにのってバルセロナまで行く。 朝食をとり、8:00にチェックアウトを完了させる。相変わらずコーヒーがうまい。
昨日の続報が気になるので駅売りの新聞を買った。英字新聞はTIMESしかないが、 400pts(280円)はちょっと高いな。
長距離列車はほとんどがマドリードの北のはずれ、MadridChartman駅から起つ。地下鉄で約20分、 2日ぶりにチャルトマン駅にきた。9:00前だがサマータイムのため、実際は8:00前。イギリスに比べて 緯度の低いスペインではまだ完全に日が昇っておらず、朝焼けがしっとりと覆っている。

TalgoはIRUNから乗ったIC同様、内装は非常にきれいで、映画放映用のTVもあり、席も広くて快適。そして 今回は体調がすっかり回復したので車窓を楽しむ余裕が出てきた。
スペインの2大都市、マドリード-バルセロナ間は600km程度だが9:00発の16:05着と8時間もかかる。意外なことにスペインは平坦な地ではなく、山間を抜けたりするためだ。そしてこの景色がすばらしい。
マドリードを出てすぐは山間を縫うように進む。山間部は日本のようにびっしり木が植わっているわけではなく、むしろ緑は所々にしかなく、山肌があらわに見られ、砂漠のような荒野の印象だ。そしてしばらくすると平坦な大地に抜ける。赤みがかった大地はまわりに小高い地層棚が見られる。そんな景色が次第に緑を帯び、とうもろこし畑に入った。イギリスには牧草地は多いがこのような背の高い植物を栽培している景色はあまり見られない。そしてバルセロナが近くなってくると真っ青な海が目に飛び込んでくる。
8時間あまりの乗車時間はひとときも退屈せず、「まもなくバルセロナです」のアナウンスを聞くと、ちょっと残念な気持ちさえ浮かび上がった。 |


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さて、汽車の窓から外の景色を撮るのってちょっと難しい。ビュンビュン流れていくのでタイミングが 難しいし、変なものが映ることもある。また、窓への映りこみを避けるのも簡単ではない。もっともそこは デジタルカメラ、いくら失敗しても後から消去できるので、気にせずバンバンとっていた。 ちょっとさすがに撮りすぎたので、今後のために少し消去しておこう。ええっと、Menuから「消去」。 そんで「OK」、と。

あれ?

ち、ちがう。「一枚消去」したいんだ。 「全消去」じゃなーい!

ああ、キャンセルボタンはどこだ!? キャンセル、キャンセル、ぽちぽちガチャガチャ…

ああ、俺の写真が消えるー!。
消えるう!!

………
やっと止まった。とりあえず全部は消えなかった。 しかし一回も使ったことのないキャンセル手順、よく見つけられたな。不幸中の幸いか。 どのくらい消えただろう。
ああ。パリのほとんど消えちゃったなあ。エッフェル塔、凱旋門は全滅か。ああ!パリ警察のチャリンコ部隊、 プジョーのMTBに乗った姿を取ったのに。あれいい絵だったのになあ。
まあ、被害は最小に食い止めたといえるだろう。パリの写真もまったく0ではないのだから。
「ええ、まもなくバルセロナ〜、バルセロナ〜。どなた様も お忘れ物、落し物のないようご注意ください〜」
司会者 「まあ、これがパリの写真消滅の顛末です。結構いい写真があったのに残念です。やっぱり デジタル機器は手軽な反面、削除が簡単にできてしまうので注意しなくちゃ行けませんね。それでは 気を落とさずに、マドリードの点数を、どーぞー!」
ドゥルルルルルルルルルル…
「8点8点8点7点8点9点8点8点8点8点 合計はぁ…」
ドドン。
「79てーん!」
司会者 「79点とまたまた80点を割ってしまいました。これはなにより体調が悪かったのが原因で しょう。マドリードの街自体は活気もあり、そんなに悪くないとは思うのですが、いかがでしたか? コロンブスさん?」
コロンブス 「うむ、おっしゃる通り、体調が悪く、思うように観光ができなかった、というのが 得点が伸びなかった理由にて候。されど、あくまで得点はその街を楽しめたかどうか、が、 判断基準なれば、その時々の天気、体調すべての影響を受ける故、それも仕方のない由。」
司会者 「街自体の雰囲気はどうでした?」
コロンブス 「街は君、西班牙らしく活気にあふれ、夜ッパリの輩がそこかしこにたむろする のもいとをかし。人々のふれんどりいな様もいとたのし。されど体調あしく存分に堪能できずは いとわろし」
司会者 「なんだかボロボロになってきちゃったんでまたライシュー。」
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BARCELONA
‐スペイン‐ 通貨/1pts(ペセタ)=0.67円 公用語/スペイン語
16:05ちょうど、遅れることなくバルセロナ・セインツ駅(Estacio de
Saints)に到着。 マドリードであらかじめ予約していたホテルの最寄駅、Liceuまでは地下鉄一本で行ける。 カタルーニャ広場から通じる大通り、ランプランス通りのど真ん中の駅で、ホテルは そこから歩いて五分くらいのところにある。まさに中心街の中心、といった感じで あまり治安はよさそうではない。ガイドブックによると駅から降りてすぐのところに トラベラーズ・インフォメーションセンターがあるはずなのだが、実際にはそこには ケンタッキーフライドチキンがあった。最近のKFCは旅行案内までするのだろうか。 ホテルLevanteはスペインの安宿によくある(とガイドブックに書いてあった)、Hostal(オスタル)という 形態で、建物全体ではなく、一部がホテルになっている。ちっちゃな看板しかなく、 入り口を見つけるのにも苦労した。しかも入り口には鍵がかかっている。脇に各部屋に 通じると思われるブザーが並んでいて、そのうちのひとつに「Hostal」という表示があるので それをブビーっとおす。インターホンなど何もないのでどういう風に応対するのかな、 と思っていると、ドアのあたりでかちゃっと音がした。リモートで鍵が開く形になっているらしい。 勝手に入れということか。この建物は外から見るよりもかなり大きく、中が吹き抜けに なっているなかなか趣深いものだ。そこの3階部分がHostalになっている。かなり古い建物の ようで、ガイドブックを見てみると「かつては売春宿だった」とある。 「ピカソの傑作、アビニョンの娘たちはここで描かれた」、とも。 そうか。そうなに由緒あるものなのか。ってことは「アビニョンの娘」って、娼婦のこと? 大体アビニョンってなんだ?毛糸洗いに自信が持てるやつ?
 右の建物がHostalLevanteのあるところ。数台 止まっているバイクの向こうに入り口がある。 あまり上品な土地柄ではなさそう。 |
 建物の3階がHostalの入り口。吹き抜け部分に かけてある橋を渡って入る。 |
ホテルのおばさんは英語が話せるのでいろいろ情報を仕入れることができた。ここには2泊するので 明日は丸一日時間がある。観光バスのチケット売り場や、コインランドリ-の場所などを聞く。
ところで、次の目的地だが、バルセロナからの移動となると、ヨーロッパ地中海沿いを走ることになる。 が、ヨーロッパ北側に比べ、地中海沿いは本数が少なく、乗り継ぎも悪い。さらにTGVやACEなどの 特急もあまりない。南仏をはじめ、リゾート地が多いので、滞在型の旅行者が多いのだろう。 ここを一気に突破するには、また夜行を使えば、地中海沿いならミラノ、山間部ならジュネーブまで 行ける。しかし正直言って夜行はもううんざりだ。この夜行の後、一週間滞在した後、次に移動、 というスケジュールならばよいが、一泊後には次の都市へ移る予定だ。もし夜行を避けるならば 昼間にマルセイユ、モナコ、ジェノバなどを経由してイタリア、あるいはスイスに入ることになる。 日数がかかるがちょっと問題なのと、もうひとつ、モナコなど南仏の高級リゾート地を1人で宿泊する 度胸がない。だって叶姉妹みたいなのに後ろ指さされたらやだ。 よって、このあと、南仏リゾート地を一挙にすっ飛ばすために飛行機を使うことにした。 行き先はスイス、チューリッヒ。当初の予定では、(飛行機ではないにしろ)次の予定地はミラノで あったが、ここに来て最初に立てた予定はちょっと苦しい、というか、かなりムボーであることがわかり、 描く円を少し小さくすることにした。
飛行機のチケットを取るため、ホテルのおばさんに旅行代理店の場所を聞いておいた。 今日はもう18:00をまわっているし明日だな、と思っていたが、まだ営業していた。スペインでは、 お土産店やレストランは当然だが、銀行はじめ他の店舗も結構遅くまで営業している。これは スペイン人が勤勉なのではなく、営業時間を見ると、午前中は14:00までで(昼休みもある)、 その後14:00から16:00までシエスタ(ほんとに昼寝するかどうかは知らないが)、そして 16:00から午後の営業が始まるからである。
旅行代理店はやや混雑しており、ずいぶん待たされたが、ちょっとだけ英語の話せるセニョリータが 対応してくれた。バルセロナ-チューリッヒは直行便と経由便があり、前者は1.5時間くらい、 後者はフランスのリヨン経由でトランジット含め3時間くらい。そして値段が倍も違う。経由便でも 42000pst(32000円)もするので文句なく経由便にした。が、この経由便、朝の6:30出発である。 6:30発9:15着なので、最初は時間が有効に使えていいじゃん、と思ったが、よく考えると6:30発って いくらなんでも早過ぎないか?一時間前にチェックインするとなると空港には遅くとも5:30に着か なきゃなんない。空港までは30分見ておくと、5:00発か。「しんどいから飛行機」のはずだったのに、 余計ハードになってしまったような…。
カタルーニャ広場の脇にあるその旅行代理店を出て、少し街をぶらついてみた。カタルーニャ広場から続く ランプランス通りは中央が公園になっていて、その両側を車が走る。ここはとにかく大道芸人が多かったが、 そのほとんどは「それが芸か?」といったものだった。
 市民の憩いの場、カタルーニャ広場はまた、カタルーニャの魂でもある。 |
 サッカーのリフティングが芸になるとは。 |
 E.T.だそうだ。 |
 よい夢を… |
そしてランプランス通りを左に曲がり、サンジャウム広場に出た。なにか歴史のある建物なのかな、と 思ったらなんと市役所であった。重厚な、歴史を感じさせる見事な建物である。名古屋市役所は つめのあかをせんじて飲め。今すぐ飲め。サンジャウム広場からはいくつかの細い道が出ているが、 両脇に古い建物を従えた石畳の小道は趣が深く、中世にタイムスリップでもしたような感覚に襲われる。 そしてノバ広場に出ると、そこには荘厳なカテドラル(大聖堂)が聳えていた。ヨーロッパの街には 大小かかわらず、ほとんどが中心に大きな教会があり、カテドラルと呼ばれている。古くからその街の 中心的な役割を担ってきた各々のカテドラルには多くの歴史が刻み込まれており、それがその美しさを 引きたたせる。このバルセロナのカテドラルは、カタルーニャという微妙な歴史、そして現在のバスクに 対する思いもあいまってか、その荘厳なゴシックの容貌を際立たせている。巨大な全体像は威圧に 満ちていたが写真に収めるのも陳腐だったので、一部の表情だけに留め置いた。
 バルセロナ市役所。 白黒モードで撮影。今回の旅行でデジカメの 機能、大分使いこなせるようになった。
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 市役所のあるサンジャウム広場からカテドラルに抜ける小道。 |
このカテドラルの前のノバ広場で、3人組がジャズを演奏していた。サックス、打楽器、ウッドベースと いう組み合わせ。暮れ行く日の中、次から次へと奏でられるスタンダードナンバーにうっとり耳を傾け、 時のたつのを忘れた。
 夕暮れに沈みゆくカテドラルの美しさには、 表現する言葉が存在しない。 |
 ノバ広場のジャズ3人組。次々とスタンダードナンバーを繰り広げ、カタルーニャの夕暮れどきをノリのいいBGMで色づけていた。 なお、サングラスをしているのは左端のサックスの男だけで、他は単にケンシロウなだけである。 |
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