第8日(9月14日)


 3:00に目がさめてしまった。 6:30の飛行機に乗るために、って緊張していたのもあるんだけど、
やっぱりあんまり上品なホテルじゃないようで、夜遊びから帰ってきた連中がどかどか出入りするし、
バックパッカーは夜昼なくたずねてくるので騒々しかったからだ。それでもまあ寝坊してあたふたするより
いいので、そのまま準備してチェックアウトした。フロントでタクシーを呼んでもらい、4:00過ぎに
空港に向かった。

 空港に着いたのは4:30。いくらなんでも早すぎた。日本の空港は一般的に2時間前のチェックインを
基本とするが、ヨーロッパの空港はヨーロッパ内向けの飛行機は1時間前が基本。しかも早朝便のためか、
搭乗開始は出発30分前で、1.5時間もなにもすることなく、カフェで簡単な朝食をとったあとはがらんとした
空港でボケっと過ごした。

 飛行機は6:30バルセロナ発7:30リヨン(フランス)着。そこで乗り換えてさらにチューリヒに向かう。
で、この飛行機、めちゃくちゃ小さい。飛行機に搭乗するときって、ジャンボじゃなくても階段付きの車が
来て搭乗口まで登っていったりすると思うんだけど、この鉛筆みたいな飛行機は搭乗口のドアがそのまま
パカッとあいて階段になってるヤツ。乗組員もほとんどいなくて、もしかしてワンマンか?っていうくらいだ。
それに客席からコックピット、そこを通して前方の視界が見えるんだけど。小さすぎ?

 6:30。機は未明のバルセロナを悠と上昇して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司会者 「さあ、それでは、バルセロナの得点を見てみましょー!
審査員のみなさん、得点をいっせいに、どうぞー!」

 

 

 

 

 

 

 

ドゥルルルルルルルルルル…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「10点10点10点10点10点10点10点9点10点 合計はぁ…」

 

 

 

ドドン。

 

「99てーん!」

 

司会者 「おしい!満点まであと一歩!マドリードと違い、体調万全で観光を満喫しましたからね。
いかがですか?アントニオ・ガウディさん?」

ガウディ 「天気もよく、体調もよく、街も見所たっぷり。もうちょっとで満点というところやな。
けどホテルがちょっとイマイチやった。マドリードのホテルがよかったっていうのもあるかな。
もちろん値段は3倍もちゃうけど。」

司会者 「それが−1点の原因ですか。観光そのものはどうでした?」

ガウディ 「あのHop On Hop Offのシステムはええで。ロンドンにもあるけど、観光要所は
一通り廻れるし、それでいて自分のペースで観光できるし。天気がええ日はあのオープンの
ダブルデッカーに乗って景色を見ているだけでも楽しい。バルセロナのように見所が
集まっとって、でも歩いてまわるにはちょっとしんどいところにはうってつけや。東京や京都にも
あればええのに。」

司会者 「観光ポイントとしてはどこが印象に残りました?」

ガウディ 「せやなあ、手前味噌になるけどガウディの建築一連はおもろいで。ヨーロッパの
建築っていろんな様式があるけど、それらとは全く一線を画している。美しい、とかいう感覚は
人によるかもしれんが、珍しいものではあるな。」

司会者 「それではやはり、サグラダ・ファミリアが一番印象に残っていると?」

ガウディ 「いや、正直ゆうて、カテドラルが一番よかった。カテドラルいうか、その周りの雰囲気、
広場の人たち、暮れ行く夕日、そしてジャズメン。ああいう緩やかなすごせる時間を大切にしたいな」。

司会者 「まあ惜しむらくは、滞在が1.5日程度だということですね。まだまだ魅力は尽きないでしょう。
以上でスペイン編終わります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんな小さな飛行機でも機内食サービスはあるようだ。でもスチュワーデスではなく、パイロット服を着た
男性だ。もしかして副操縦士がアテンダントも兼ねているのだろうか。もしワンマン飛行機だったら
パイロット本人だな。
 朝食は空港でとったのだがせっかくなのでいただこう。あんまりおいしくなかったけど。

 1時間程度のフライトなので、離陸したと思ったらすぐ着陸体制に入る。ところがなにを隠そう、Mは
未だに飛行機が怖い。特に着陸するときの、あのフワンとする感覚が大嫌い。それにジャンボはまだいいが、
小さい飛行機ってすごくゆれるのだ。それに一回着陸体制に入ったものの、やりなおしてもう一回上昇して
不安をあおるのはやめてくれー!着陸の時は怖いくらいゆれるのはわかっているし、少々のゆれごときでは
墜落するわけはないのもちゃんとわかっているのだが、着陸のたびに「今回のゆればかりは
尋常じゃない」
と思ってしまうのだ。今回のゆれも尋常ではなかったのだが、なんの問題もなく
無事着陸。

 リヨンでは40分程度のトランジットで、チューリヒ行き8:45発の便に乗りかえる。今度の飛行機は
もっと小さい。先の飛行機はかろうじて左右2列の4列の座席だったが、今度のは右2列、左一列の3列。
路線バス以下じゃねーか!

 今度の飛行機はちゃんとスチュワーデスさんがいた。美人なのだが、やたら背が高く、人を下目使いで
見おろす。「コーヒーください」っていったのに、「おまえには紅茶がお似合いよ」と紅茶を出された。まあ
なんだっていいんだけど。そんなわけで、今日3回目の朝食を食べる。予想はしていたが
メニューはさっき食べたやつとおんなじ。

 朝ご飯食べたと思ったらすぐに着陸体制に入る。今回のゆれも尋常ではなかったが、やはり無事
チューリヒ空港に着陸。9:30.

 

 

 

 

 


 ZURICH

-スイス-
通貨/1スイスフラン=68円
公用語/ドイツ語、フランス語、イタリア語

 首都機能のあるジュネーブに対し、チューリヒはスイスの経済の中心都市。もうかれこれ6年前に
なるが、トルコ旅行に行ったとき、帰りの飛行機の手配の関係で一泊したことがある。ほんの
ちょっとの滞在であったが、一度でも来たことがあるとなんとなく安心感がある。チューリヒの中心街へは
鉄道を利用する。チューリヒ空港駅からチューリヒ中央駅まで特急なら一駅、ほんの15分だ。まあ
いまどき大都市で空港から都心まで何時間もかかるのは成田くらいのもんだろうな。汽車は
総2階建ての立派なものだ。

 チューリヒ駅にはホテル紹介のオフィスはなかったが、駅の一角に自分でホテルが探せる
機械がある。パネルにホテルの概略(値段、シャワートイレの有無など)があり、ホテルのIDを押すと
地図上のホテルの位置が点灯する。そして脇にある電話に、そのホテルのIDを入力すれば
通話料無料でそのホテルにつながる。これは便利だ。手数料はいらないし、それに通常の
カウンターのように人を配置する必要もないので人件費もかからないだろう。

 ホテルは以前来たときと同じ、HOTEL KRONEにした。一泊75SF(5000円)はまあそこそこだし、
場所もいい。ただ、以前泊まったときは、トルコの帰りだった、というのもあったかもしれないが、
ものすごく綺麗で清潔だった記憶があるのだが、今回見たらそうでもなかった。もちろん、
十分許容範囲で、ロンドンのぼったくりB&B群よりかは遥かに良心的である。

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チューリヒ駅の自動ホテル案内機
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かつて一度利用したことのあるHOTEL KRONEを今回も利用。前回はずいぶん立派な印象があったが今回見たらそうでもなかった。

 時間がちょっと中途半端だったので、とりあえず、あまりの眠さに30分ほど眠った。ちょうど
12:00前に目がさめた。3回も朝ご飯と食べてもお昼にはお腹がすくので、駅に行って簡単な
軽食を食べ、いざチューリヒの町の観光へ。前回来たときは確か夕方着、翌日朝発だったので
それほど時間がなかったが、今回は午後まるまる時間がある。それほど大きな街ではないので、
遠出をするの出なければまあそこそこ堪能できるはずだ。

 まずはチューリヒの動脈、トラムに乗って、チューリヒ湖へ向かおう。が、やがて雨が降ってきて、
最初は濡れながら歩いていたがだんだん強くなり、ちょっと外を歩き回るのが難しくなってきたので
そばにあったチューリヒ美術館へ飛びこんだ。拝観料10SF(700円)也。この美術館、意外に
品揃え豊富で、中も広い。ゴッホ、ピカソ、ムンク、特にシャガールが多い。シャガールの原画って
はじめてみたけど、なんかマンガみたい。俺にも描けそうだ(と、ちびまるこちゃんも言っていた)。
スイスにはあまり美術館とか博物館とかいったイメージはなかったので、常設展でこれほどの作品を
そろえているところがあるとは思わなかった。思わぬ拾い物をした。

 雨が少し弱くなったので、チューリヒ湖から、町を貫くリマト川沿いにホテルの方に向かって歩こう。
経済の中心都市といいながらもヨーロッパの街らしく、古い建物を大事にして景観を保っていて、
よい雰囲気で覆われている。フラウミュンスター、ザンクト・ペーター教会など歴史的な建物が並ぶ。
そのうちのひとつ、右手にあるグロスミュンスター大寺院に入ってみた。教会にしては珍しく、二つの
塔があり、宗教革命の際にツヴィングリ(だれそれ?)が説教をした場所として知られる。内部の
ステンドグラスはヨーロッパの教会のご多分に漏れず非常に美しい。ジャコメッティの作だそうだ。

 このチューリヒのランドマークでもある塔、登ることができる。結構な高さで、サグラダ・ファミリアの
時に書いたようにMは高所恐怖症なのだが、それでも登れるといわれると登ってしまう。
チューリヒの街が一望できる塔からの眺めは格別だけど、やっぱり怖かった。

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チューリヒには地下鉄はなく、トラムが主な足。
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グロスミュンスター大寺院からの眺め:フラウミュンスター

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グロスミュンスター大寺院からの眺め:ザンクトペーター教会
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グロスミュンスター大寺院からの眺め:チューリヒ湖

 グロスミュンスター寺院を出てリマト川を渡り、バーンホフ通りを北に向かう。ここはチューリヒ随一の
繁華街で、ブランドショップが軒を連ねる。特に腕時計を見るのが好きなので、腕時計のメッカ、スイスの
各ブランド店をざーっとウィンドウショッピングした。結論。高い。

 夕食を終えてホテルに帰り、シャワーを浴びて部屋でくつろぎの時間。さて、明日どこへ行こう。
前に来たときは飛行機でミラノまで来て、そこから汽車でチューリヒに入った。このミラノ−チューリヒは
アルプスの山岳地を抜ける絶好のコースだ。ここからミラノに行けば当初の予定のコースに戻るが、
ちょっとこのあとミラノ−ヴェネツィア−ウィーン−プラハ…と行く気はしない。チューリヒ→ミラノは南向き
だから現在のコースを逆行することになるし。ドイツだと、そうだな、ミュンヘンはちょっと遠いな。
フランクフルトまで一気に行くか。それともハイデルベルグがいいかな…。フランスならストラスブール
あたりか。

 はて、このガイドブック、ヨーロッパ全域のもので、900ページ弱のかなりボリュームのあるものなの
だが、1枚しかページを割かれていない国がある。リヒテンシュタイン候国。スイスとオーストリアの間には
さまれた、ヨーロッパで4番目に小さな国だそうだ。この国の首都、VADUZ(ファドゥーツ)は、
チューリヒから約一時間、SALGANS(ザルガンス)というスイス側の国境の町まで行き、そこからバスで
30分程度。SALGANSは大きな駅なので、汽車の本数は問題ない。美しい切手を発行することで知られる
リヒテンシュタイン。そうだ。この国に行ってみよう。こんなことでもなければ行く機会もないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

今日の宿題。リヒテンシュタイン候国はヨーロッパで4番目に小さい国ですが、1〜3番目はどこでしょう。