7:30起床。 安ホテルながら、朝食は思いのほか充実していた。
次の目的地はもう決まっている。 昨日、ベッドの中でガイドブックを手繰っていたら、「フランクフルト−ケルン間はドイツでも屈指の 景勝地」とある。フランクフルトからしばらく行くとライン川沿いを走る。有名なローレライの伝説の舞台と なる巨岩や、昔のたたずまいを残すBachrachの街などを通る。そしてこのあたり、中世のお城が 数多く残されている。フランクフルト−ケルン間はICEを使ってしまえば2時間程度とあっという間に 通りすぎてしまうが、各駅停車を使い、気の向くままに途中下車をしていきたい。
フランクフルト駅でケルンまでの切符を購入する。76DM(4000円)で、四日間以内なら途中下車は いくらでもできるそうだ。もっとも、ヨーロッパの駅には改札などないので途中下車もくそもない。 6番線よりICEにのって、まずはMainzへ向かおう。
司会者 「ドイツの経済都市、フランクフルトはいかがだってでしょうか?いっせに得点を、どーぞ!」
ドゥルルルルルルルルルル…
「8点8点9点9点7点7点8点8点8点8点 合計はぁ…」
ドドン。
「80てーん!」
司会者 「うーん、思ったほど得点は伸びませんでした。ちょっと滞在時間が短かったですか? ゲーテさん?」
ゲーテ 「そうですね。」
司会者 「いろんな興味深い博物館などもあったと思うのですが、結局行ったのはゲーテ博物館 だけでした。」
ゲーテ 「そうですね。」
司会者 「街自体の雰囲気は古い建物などがあってよかったと思うのですが。」
ゲーテ 「そうですね。」
司会者 「その中に近代的な超高層ビルがあったりして。」
ゲーテ 「そうですね。」
司会者 「この次来る機会があったらもう少し時間をかけてじっくり歩きたいですね。」
ゲーテ 「そうですね。」
司会者 「なぜか笑っていいとも状態になってしまいました。それではまた来週。」
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Meinzには30分ほどで到着した。
ドイツの鉄道はわかりやすく分類されており、まずICE(InterCityExpress)が都市間超特急、新幹線の ようなものだ。その下に大都市間を結ぶIC(InterCity)があり、IR(InterRegio)は急行、というような 位置付け。そしてローカルの鉄道はRE(ResionalExpress)がIRよりちょっと下の快速、RB(Regional Bahn)が各駅停車といったところだろう。 フランクフルトではケルンまでの幹線はICEとICの時刻表しかなかったが、Meinzの駅で、Meinz‐Koblenz 間の、各駅停車までの細かなものを手に入れることができた。それによると、各駅停車はほぼ一時間に 一本来る。中世の町並みが残るBachrach(バッハラハ)、ローレライの岩が近いSt.Goar(サンクト・ ゴアール)あたりでおり、1時間程度歩いて、その次に来る汽車にまた乗る、という感じで行こう。
まずはMeinzから急行IRで次のBingenへ行く。Bingenに行くにはどこから乗ったらいいのかな? インフォメーションで聞いたら、「elf
gleis」とのこと。「elf」は11、「gleis」は〜番線だから11番線だね
 Meinz駅
 Bingen駅
MeinzからBingenまでは15分足らず。そこで更に各駅停車RBに乗り換える。Bingen駅付近から ライン沿いを走るようになり、景色が楽しめるようになる。ライン川は幅100mくらいの大きな川で、 ライン流域というと工業地帯というイメージが強いのだが、このあたりは川の両側を山に挟まれており、 物々しい建物はいっさいない。それにこの付近には古城が多く残されており、ガイドブックに載っている ような有名なものから、名前もわからない廃墟のようなものまでごろごろ転がっている。 まずはBingenから5分ほど、二駅目のBachrachで降りた。ガイドブックには「バッハラッハ」と 書いてあったが、あとでフィリップに聞いたらアクセントは前にあり、「バッハラハ」のように発音するのが 正しい。 Bachrachは中世の町並みがそのまま残ったような街だ。さすがに日本向けのガイドブックにはなかなか 出てこないが、観光客らしき人が目に付く。ドイツ人は町が好きだから、こういった観光地は人気なのだろう。
  Bachrachの駅。プラットフォームの端っこの方は整備されずに 雑草が生えているが、それもまたをかし。 赤い汽車は乗ってきたRB。こんな田舎の各駅停車にも2階建ての 最新車両をつかっている。1車両に一人くらいしか乗っていない。
 Bachrachは中世の町並みをそのままのこす。 通りもアスファルトではなく、石畳。 ドイツはヨーロッパ諸国の中でも特に 古い景観を大切にする国だ。
 川の州に立つプファルツ城。この沿線を 通ると、右に左に、大小、有名無名 様々な古城が通り過ぎてゆく。
一時間ほど街を歩き、次に来たRBにのる。Bachrachの駅から少し走ると、川の州に立つ城、 プファルツ城がみえる。そして二駅先のSt.Goar(サンクト・ゴアール)で降りた。ここからはローレライの 岩が近い。ライン川はこのBingen‐Koblenz間あたりできつく蛇行している。とくにこのローレライの岩の あるあたりは大きくうねっており、行き来する船には注意を要する難所であった。いつのまにか、 この難所にはローレライという魔女が住み、その美しい歌声につられているまに船が岩に激突し、 沈没してしまう、という伝説ができあがった。 St.Goarの駅からローレライの岩までは川沿いを歩いて20分程度。でも往復40分かかるので、 この駅では昼食を含め、2時間滞在しよう。St.Goarの対岸には、「ねこ城」の見下ろす街、St.Goarhause がある。こちらもなかなか趣ぶかい街のようだが、対岸まで行くのはちょっと大変だ。景観を保つためか、 この付近には橋は一切なく、対岸に渡るには渡しの船を使うしかない。ローレライの岩へ行く途中はずっと 川沿いのキャンプ場のようなところで、特にリタイヤしたお年よりたちが日向ぼっこをしていた。
ローレライから帰ってきてお昼にしよう。ほんとはガイドブックにある、古城を改装してホテルとなっている、 シェーンブルク城にあるレストランに行きたかったのだが、更に30分くらい歩く必要がありそう。 次の汽車を逃すとちょっと乗り継ぎが悪くなるので、断念だんねん。あきらめて駅前に並ぶカフェの ひとつに入った。 いくつかのランチセットがあったので、ソーセージ、マッシュポテト、ザワークラフトのセット、それにコーヒーを 頼んだ。ザワークラフトはドイツの伝統的な漬物で、キャベツの千切りをおすでつけてふにゃふにゃに したもの。大泥棒ホッツェンプロッツの大好物だ。 最初、コーヒーと間違ってビール持ってきやがった。この寒いのに外でビール飲むやつがいるかっつーの! …みんな飲んでる。
  St.Goarの駅のすぐ対岸には、丘の上にねこ城がそびえ、そのふもとに St.Goarhauseの街が広がる。まるで品のいい模型のおもちゃのような 風景だ。
 ローレライの岩。川辺に高くそびえ、頂上が 平らになっている。かつてはライン屈指の難所としてしられた。 ところで、このようにコントラストの大きい(崖と川、空)の 風景って、案外撮るの難しい。
 お昼ご飯。ソーセージうまし。
14:29発のRBにのり、Kobflezまで行く。ここで一応、ライン流域の景勝地はおしまい。ライン側は このまま、Kolnまで続くが、路線からはちょっと離れてしまう。
  左:ねずみ城。 右:敵対する兄弟の城、リーベンシュタイン城とシュテルンベルク城は 不和の壁とよばれる壁で仕切られているそうだ。
 とにかくすばらしい景観のライン流域。 各駅停車にのって気ままに途中下車をする。 汽車の旅の醍醐味だ。
司会者 「ライン流域には滞在したわけではありませんが、目的地のひとつとして 採点してみましょう。審査員のみなさん、得点をいっせいに、どーぞー!」
ドゥルルルルルルルルルル…
「9点10点9点10点9点10点10点10点9点9点 合計はぁ…」
ドドン。
「95てーん!」
司会者 「なかなかの高得点になりましたね。どうでしょう、ビスマルクさん?」
ビスマルク 「そうですね、まずはなによりも、汽車のたびが最も楽しめる動き方をした、 というのが大きいですね。」
司会者 「と、いいますと?」
ビスマルク 「まあ、そもそもこのヨーロッパ旅行の目的のひとつでもあるのですが、時刻表と路線図、 そしてガイドブックを見比べ、汽車の時刻と滞在地を考えながら計画を立てる。途中下車したのは 高々二駅ですが、その醍醐味が満喫できたと思います。」
司会者 「計画することそのものが楽しかったと。」
ビスマルク 「旅行の楽しみは、バンジージャンプなど珍しい体験をすること、リゾートなどで リラックスすること、はたまたおいしいものを食べたり買い物したりすることなどと様々ですが、 『計画を立てる』という楽しみは案外見過ごされがちで、しかし非常に大きな要素だと思うのです。 汽車にかぎりませんが、移動型の旅というのは、それがもっとも実現しやすいものだと おもいます。」
司会者 「BachrachやSt.Goarなど、滞在した街はいかがでした?」
ビスマルク 「もちろんそれらがすばらしかったことも触れなければいけません。父なるラインに はぐくまれた小さな街は、ロンドンやパリのようにはっきりとした見所があるわけではありません。 が、天気がよかったこも手伝って、雰囲気そのものを楽しめました。」
司会者 「このように汽車のたびを満喫できるのは、長距離鉄道網の発展したヨーロッパ ならではでしょう。それではまた来週。」
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KobflezからKolnまではだいたい1時間くらいだ。 構内のインフォーメーションで、次のKoln行きは何時からだ、と聞いたら、時刻表を見もせず、 チラッと腕時計に目をやり、「10分後に3番ホームだ」とさらっと答えた。うーん、プロだな。
KOLN
- ドイツ - 通貨/1ドイツマルク=55円 公用語/ドイツ語
ドイツ西部の都市、ケルン(発音はコルンに近い)はローマ時代から中世、近世にわたって繁栄した 都市で、その分興味深い建物も多い。まずは駅を降りて目に飛び込むのが有名なケルン大聖堂だ。 とにかくでっかい塔が駅を出た後そびえているのでちょっと感動ものだ。
 駅を降りるとすぐにKoln大聖堂の前に出る。
インフォーメーションセンターは駅のすぐそばにあるはずのになかなか見つからなかった。なぜなら i のマークが出てなかったから。ここではホテル紹介やいろんなツアー、それに地図もおいてある。 ガイド用の地図は日本語版もあり。ここで65DM(3500円)のホテルを予約した。
このホテルはライン川流域にあり、なかなか眺めがよい。このライン川流域はホテル街のようで、 殆どが一階にレストンランを備えて活気がある。部屋は広いし、バス・トイレ、朝食付きでこの値段は 安い。どうもドイツはかなり物価が安いようだ。スペイン、とまではいかないが、ホテル料金、 鉄道や地下鉄料金、食べ物の値段などを見ると、イギリスやフランスよりはるかに安い。
  左:今回泊まったRhein(ライン)ホテル。 右:ライン川を望むホテル群。その向こうに見えるニャロメの耳のようなものは Koln大聖堂。
部屋に入ったときにはすでに17:00を回っていたので、あまり観光はできなかった。ケルン大聖堂、 市庁舎などを見たが、ガイド地図によると他にも多くの歴史的な建造物が合ったようで、ちょっと心残りだ。
 Koln大聖堂
 Koln大聖堂の前はパフォーマー達の場所。 黙々とベートーベンの肖像画を描く人も。 お見事。
 一般の人々が落書きをするスペースも。
 Koln市庁舎
夜はバーに行ってみた。疲れているときにビールを飲むと、がくっと体調が崩れてしまうのはすでに 体験済みだが、ドイツに来てビールを飲まない手はない。ProkNuckle(豚のげんこつ)と Grilled
vegetable、Potatoのセット、それにビールを頼んだ。ビールは小さ目のグラス。これで 30DM(1600円)はやっぱり安い!
  この日の夕食。豚のげんこつは肉の塊にたっぷりソースをかけ ナイフがさしてある。ちょっと重かったがおいしかった。 他に牛のげんこつ、小羊のげんこつなど。
 ドイツ人はグラスを飲み干してからお代わりを頼む、なんていう まどろっこしいことはせず、いきなり10本の単位でガバッと注文する。 残り少なくなってきたらまた何10本か注文するのだ。 しかしドイツ人!撮ってもいいかい?って聞いて カメラ向けてるんだからちょっとは愛想見せろ! 俺一人ぺらぺらしゃべってバカみたいなないか。
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