第14日(9月20日)

  

 

 7:00起床。

  午後には次の街、ブリュッセルに向かうので午前中だけ、行けるところだけでも観光してみよう。

 天気は快晴とまではいかなかったが、まばらに雲のある好天。とにかく雨さえ降っていなければ
上出来だ。アムステルダムは運河が縦横に走る美しい町。朝日をまぶしく反射する濡れた石畳の
上を進んでいくだけで快適だ。冷たい空気が心地よい。

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朝のアムステルダムは大忙し。
色とりどりのトラムが右へ左へ
走りぬける。
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アムステルダムは運河が走る美しい街。
ただし、運河は交通手段としては
もう殆ど使用されていない。

 

 

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アムステルダムはチャリンコ率高し。
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みんなちょっとしゃれた、レトロ調の
自転車を駆る。

 

 

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 アンネ・フランク・ハウス。ブリジット・ジョーンズの日記よりも有名なアンネの日記の舞台だ。
フランク一家の隠れ家となったのはフリンセンフラハルト263番地、父親のオットー・フランクの
経営する会社の屋根裏だった。一部のオランダ人に支えられながら、音も立てられない、
外を見ることもできない、息の詰まるような生活を耐えていたがついにナチスにつかまる。
将来、ジャーナリストになって民族の開放を願う少女の日記は、収容所での栄養失調での死後、
広く世界に出版された。目を背けたくなるが、決して忘れてはならない歴史の記録だ。

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街の隅にひっそりとたたずむアンネフランクの銅像。

 アムステルダムには魅力的な美術館が多くあるが、やはり巨匠、ゴッホ美術館は押さえておかねば
なるまい。ゴッホの作品のみを集めた美術館だ。
 ゴッホの作品を、各年代ごとに展示してある。意外にも、「馬鈴薯を食べる人々」などの暗い作風は
初期のヌエメン時代もので、「パリの風景」「自画像」などの、いわゆるゴッホタッチのものは人生の
最良期の作品のようで、明るさがみなぎっている。また、アルル時代には日本の芸術にも興味を
示したようで、安藤広重の模写なども見られた。
ゴッホの作品は色使いが楽しく、宗教画のようにメッセージを押しつけないし、その後の抽象画の
ように理解するのに頭を使わないし、一番すんなりなじめるのではないだろうか。


ゴッホ美術館。ゴッホの作品数は随一だ。

 

 

 

 アムステルダムは運河が縦横に走る美しい街。昨日雨が降ったために存分に観光できなかったのが
残念だったが、12:56分発のThalysに乗るために、観光はそこそこに切り上げて再びアムステルダム
中央駅に向かった。

 

 

 Thalys(タリス)はパリからベルギー方面へ向かうTGVの別名。TGVはドイツのICEと双璧をなす
ヨーロッパの超特急で、パリを中心にフランスの各都市を結ぶ。これらのうち、ロンドンのチャネル海峡
トンネルをくぐってロンドンのウォータールーまで行くのが、来るときに乗ったユーロスター、ベルギー
方面へ向かうものがThalysと呼ばれる。

 12:40過ぎ、赤い車体がゆっくりとホームに滑り込んできた。同じ車両のはずなのだが、ユーロスター
よりもThalysの方が断然カッコイイ。
 12:56、定刻通りブリュッセルへ向かい、静かに動き出した。

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深紅の超特急、Thalys見参

 

 

 

 

 

 

司会者 「残念ながら雨にたたられたアムステルダムでした。今回の旅行で、ここまで、
ちょっとした通り雨はあったものの、本格的に降られたのは初めてでした。さて、これが
得点にどう影響するでしょうか。さあいっせいに、得点を、どーぞー!」

 

 

 

 

 

 

 

ドゥルルルルルルルルルル…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「9点8点9点9点10点9点9点8点9点8点 合計はぁ…」

 

 

 

ドドン。

 

「88てーん!」

 

司会者 「90点にはとどきませんでしたが天気の割には健闘したのではないでしょうか?
どうでしょう、ヴィンセントさん?」

ヴィンセント 「オホン、オホン、あ、いや失礼。雨が降ったのは残念でしたが、美術館
まわりには影響がなかったですから。」

司会者 「そうですね。アムステルダムには多くの美術館があり、とても興味深いですね。」

ヴィンセント 「ゴホゴホ、ええ、大英博物館やルーブル美術館は諸外国からの略奪品から
なっていますが、アムステルダムの美術館は自国の作品中心であるのが誇りです。」

司会者 「おや、風邪ですか? 確かに17世紀から18世紀のオランダの黄金時代の
巨匠たちの作品をこれだけ一同に集めているのはここだけでしょう。大体、芸術の分野で
『○○の巨匠』という表現ができるのってオランダかイタリアくらいでしょう。大英博物館が
あるからといってイギリスの巨匠なんていっても誰も思い浮かびませんね。」

ヴィンセント 「ゴホッゴホッ、まあ芸術の都という表現はあまりされませんが、街自体も
運河が縦横に走っていて面白いと思います。」

司会者 「運河の遊覧船のHop On Hop Off(乗り降り自由の定期周回観光ツアー)なんて
いう魅力的なものもあったのですが、残念ながら今回は見合わせました。さて、TGV圏内
に入り、いよいよ旅も終わりに近づいてきました。残りわずかな日程ですが楽しんで
行きましょう。」

ファン・ヴィンセント・ゴッホ 「ゴッホ、ゴッホ」

司会者 「・・・お大事に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 BRUSSEL

- ベルギー -
通貨/1ベルギーフラン=2.6円
公用語/フラマン語(オランダ語)
ワロン語(フランス語)
ドイツ語

 

 

 Thalys車内ではオランダ語とフランス語の車内放送しかない。何らかの原因で遅れているらしく、
並走する高速道路の自動車にバンバン抜かされていく。結局ブラッセルには40分遅れの到着となった。

 

 ブラッセルには以前一度旅行できたことがある。その時は旅行代理店の用意したパックだったので
ホテルも決まっていたが、今回はホテルみていなのでまずアコモデーションサービスに行く。

 この一連の旅行でだんだんわかってきたのだが、やはりアコモデーションサービスで紹介するのは
そこそこ値の張るホテルで、いわゆる安宿はあまりない。最低限4000円くらいだ。ヨーロッパにも
2000円程度の安宿はあるはずだが、ガイドブックには必ずしも載っていない。今回の旅行はある程度
金の余裕のあるものなのだが、バックパッカーなどが各地を回るとき、旅行者同士の情報交換が
非常に重要である、と言われるのがわかるような気がする。

 このブラッセルのアコモデーションで紹介してくれたのも、一番安くて三ツ星の4100SF(10000円)。
ブラッセルには二泊するつもりだが、この価格で2泊はつらいので1泊だけ予約し、そこにおいて
あったホテル紹介のパンフをもらって、2泊目は後で自分で探そう。

 さすがにホテルは綺麗で、今まで泊まったものの中で一番上等だと思われる。部屋は広くて清潔、
天井が高く、そしてなによりシャワーにはバスタブがある。旅行に出てから、というよりイギリスに移り
住んでから殆ど毎日シャワーしか浴びられなかったので、今日の夜はお湯をたっぷり張ってゆっくり
浸かろう。

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泊まったホテル。左側の味のある建物は歴史のある
建造物でも何でもなく、ただの廃墟。

 さて、5:00をまわっていたがまだ明るいのでブラッセル市内の観光に出た。一度来ているので
だいたいの土地カンはある。何度行っても飽きないグランドプレース、前回は行かなかった
「世界3大がっかり」のひとつ、小便小僧などをみてまわった。


一昔前に流行った「タンタン」。これはもともと
ベルギー産のアニメである。あまり
知られていないが、ベルギーではアニメや
マンガが人気。
なお、日本ではみんな「タンタン」と
呼んでいたが、TINTINと書くことから
わかるように本当は「チ○チ○」である。
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アニメといったら日本アニメを忘れては
いけません。下手な字で「いらっしゃいませ」と
書いてある。

  

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GrandPlaceはいつも多くの人がいる。
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一際にぎやかな中国人の一団。

  

 

 

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さて、「世界3大ガッカリ」のひとつ、小便小僧である。
「有名なわりに実際に見てみると大したことがない」、というものらしいが、
意外にもそれなりに大きさがあり、彫刻も綺麗でそれほどガッカリすることはない。
…はっ。そうか。「世界3大ガッカリ」と銘打ち、そのガッカリ
いかばかりか、と期待を込めてみるものの、なんだ実はそれほど
ガッカリじゃないじゃん、とガッカリさせるような手のこんだ
ガッカリなのだ。やはり世界3大ガッカリガッカリはそんじょそこらの
ガッカリではではないようだ。